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夢幻水滸伝

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第六十六話 過去その八

「双子の星の連中らしいな」
「忠志様と香菜様か」
「お二人のことか」
「忠志と香菜って」
 その二人の名前を聞いてだ、芥川はその眉をぴくりと動かした。
 そしてだ、こう兵達に言った。
「佐藤兄妹か」
「お二方をご存知か」
「そうなのか」
「こっちの世界では漫才部や」
 芥川は兵達に話した。
「それで芥川とかいう先輩のこと言ってなかったか」
「ああ、あの三年生とかいう」
「あちらの世界ではそうだという」
 兵達は芥川の言葉を聞いてこうも述べた。
「頼りになるだの面白いだの言われている」
「そうした先輩がおられるというが」
「まさか」
「貴殿が」
「そうや、あとこれは神具や」
 芥川は兵達に狐に顔を向けて兵達に話した。
「九尾の狐や。あと神具は他にも持ってるで」
「まさか星の方が来られるとは」
「しかもお二方の先輩が」
「その方が来られるとは」
「考えもしていなかった」
「世の中考えてもなかったことが起きるんや」
 芥川は兵達にあっさりとした口調で答えた。
「何かとな、それでやが」
「はい、今からですか」
「お二方に」
「会いたいんやけどな」
 兵達にこう言うのだった。
「案内してくれるか」
「わかりました」
「それでは」
 兵達は態度をあらためてそうして芥川に答えた、そうして広く複雑な造りの大坂城の中を案内して本丸の御殿に案内した。するとそこで。
 忍者の双子がいた、彼等は自分の前に来た芥川を見てすぐに声をあげた。
「先輩もですか」
「こっちの世界に来てましたか」
「しかも何か立派ですやん」
「私等以上に」
「こっちも驚いてるわ」
 芥川は自分を見て驚きつつも笑っている双子に笑って話した。
「まさか寝てると異世界に来てや」
「しかも星のモンになってて」
「この世界を救えとか言われて」
「ほんまにです」
「びっくりしましたわ」
「そうやな、それで自分等こっちじゃ大名か」
 芥川は二人にこのことも問うた。
「そやな」
「はい、こっちの世界に出たら大坂にいまして」
「大名の人と一悶着ありまして」
「それであっさり向かってきた足軽全員気絶させて僕等のこと話したら」
「ほんまにあっさりでした」
 それこそというのだ。
「大名の座譲られて」
「今は摂津と河内、和泉治めてます」
「まあ堺は別の星の人いますけど」
「そっちは置いておいて播磨にも進出してます」
「成程な、自分等が大名か」 
 芥川は二人の話をここまで聞いて頷いて言った、腕を組みその顔は不覚考えるものになっていた。
「それも意外やけどな」
「結構上手に治めてることもですか」
「意外ですか」
「ああ、やるやないか」
 ここで笑って言った芥川だった。
「ほんまにな、しかしな」
「しかし?」
「しかしっていいますと」
「何かありますか?」
「私等に」
「いや、僕自身はどないしよかって思ったんや」 
 こう二人に答えたのだった。 
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