夢幻水滸伝
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第六十六話 過去その六
「そうなるねんな」
「そや、ほな何でも食いに行けばええわ」
「そうか、じゃあまずは店探すか」
芥川は考える顔で述べた、そして狐が消えてから大坂の街を歩いてよさそうな店に入って食べた。その後で狐を呼ぶと。
狐は満足している顔だった、その顔で芥川に問うてきた。
「それで何を食うたんや」
「たこ焼きとお好み焼きと焼きそば食うたわ」
「ほう、粉ものでいったか」
「ああ、こっちの世界にもあったからな」
あちらの世界でも大阪名物のこういった料理がというのだ。
「それで食うたわ」
「それで美味かったか」
「かなりな、しかしな」
「しかし。何や」
「こっちの世界僕等の世界とかなり被ってるな」
このことをだ、芥川は狐に話した。
「他にも串カツ屋もあるしあとラーメンも善哉もある」
「それがどうかしたか」
「この時代の文明レベルやとや」
芥川はまた街中を見回した、どう見ても安土桃山時代若しくは江戸時代の日本だ。建物も服装もそうしたものだ。
「こういった料理作ることが出来ん筈やけどな」
「それがや」
「ああ、こっちの世界は科学や魔術もあるからか」
「色々な技術があるからや」
それでというのだ。
「そうしたものも作ることが出来るんや」
「ああ、それでか」
「鉄板もや、錬金術まあこっちでは錬丹術やな」
こう呼ばれているというのだ。
「その術で鉄板を熱してな」
「そういえばガスか何かひいてたな」
「それは錬丹術の中で見つかったもんでな」
それでというのだ。
「それを使ってや」
「それでやな」
「そや、ああしてや」
まさにというのだ。
「色々なもん作ることが出来るんや」
「こっちの世界ではか」
「ラーメンにしてもそや」
この麺類も然りというのだ。
「あとカレーライスもあるわ」
「ああ、御飯とカレー最初から混ぜてるカレー出してるお店もあったな」
大阪名物だ、こうしたカレーもあるのだ。
「そういえば」
「こっちの世界は自分等の世界と同じやないで」
「かなり違うな」
「広さも人も文明もな」
そうしたもの全てがというのだ。
「生きものも違うしな」
「あれか?モンスターがおるんか」
「東洋では魔物って呼ぶけどな」
「そうした連中もおるか」
「そや、龍かておるで」
「龍もおるか」
「英語で言うとドラゴンもな。数は少ないけど色々な種類がおるわ」
龍、つまりドラゴンにしてもというのだ。
「東洋のも西洋のもな」
「それぞれおるか」
「ああ、けどほんま数少ないで」
龍の種族の個体数は少ないというのだ。
「生態系の頂点におるだけにな」
「肉食動物の中でも最強でか」
「そや、それだけに数は少ない。けどな」
「種類は多いんやな」
「ああ、それでたこ焼きとかどないやった」
芥川が食べたものについてだ、狐は尋ねた。
「美味かったか」
「ええ焼き加減やったで、どれも」
芥川は狐に笑みを浮かべて答えた。
「それで具もよかったし味付けもな」
「よくてか」
「ああ、美味かったわ。飲みものはサイダーやった」
「ほう、ビールやないか」
「ビールもあるの見たけどな」
それでもとだ、芥川は狐に答えた。もう共に大坂の街を再び歩きはじめている。川や堀が多くその分橋がかなり多く今もその橋の一つを渡っている。
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