夢幻水滸伝
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第六十六話 過去その二
芥川は気付けばこの世界にいた、彼はこの世界に入ってまずは周りを見回した。するとその目の前にいたのは。
「おう、自分がわしの主か」
「何や自分は」
芥川は自分の目の前にいた狐、馬位の大きさのそれに言葉を返した、見れば身体の毛は金色で白に見えるまでに眩い。尻尾は九本ある。
その尻尾の数からだ、彼は狐にこう言った。
「九尾の狐か」
「それは一目瞭然やろ」
「ああ、それで今僕が自分の主って言うたな」
「そや」
その通りだとだ、狐は芥川に答えた。
「わしは神具や」
「神具?」
「そのことを今から話すな」
九尾の狐は芥川に神具のことだけでなくこの世界のこともおおよそ話した、そのうえで芥川にこうも言った。
「それで種族の話をしたけどな」
「そういえば」
ここでだ、芥川は自分の手足や胴を見回した、そうして黒い忍者装束に身を包んでいることと背中の違和感に気付いた。
「忍者になってて背中もな」
「自分は天狗になってるさかいな」
「天狗?僕そんな偉そうか」
「おう、今のは結構笑えたぞ」
狐は芥川のジョークに即座に返した。
「自分お笑いの才能あるのう」
「落語部におるさかいな」
芥川は狐に即座に返した。
「将来は落語家になりたいしな」
「ほう、それは何よりやな」
「ああ、それで天狗か。けどな」
芥川は自分の鼻を触って狐にあらためて話した。
「別に鼻は高くないな」
「そういう天狗もおるやろ」
「烏天狗か」
「そうや、自分はおおよそ人間の姿やけどな」
「翼があるな」
背中を見れば確かにあった、それは黒い烏のものだった。
「烏のな」
「そうや、自分は烏天狗や」
「それが僕のここでの種族か」
「そや、詳しいこと話してこか」
狐は芥川にこの世界のことを細かいところまで話した、そしてその話が終わってから彼にこう言ったのだった。
「そやからええな」
「ああ、この世界の各地に散らばっておる星の奴を一つにしてやな」
「この世界も統一してな」
「その力で世界を救うんやな」
「それが自分そしてこの世界に来た星のモンの務めや」
「他の世界から来た奴のか」
「自分等は今話した通りや」
狐は芥川にさらに話した。
「自分等は寝たらそれでこっちの世界に来る」
「それで来た時はやな」
「こっちの世界で頑張ってもらうで」
是非にと言うのだった。
「ええな」
「わかったわ、ほなまずはこの辺り見回すか」
「ここは大坂から程近い草原や」
「そこか、周りに山が見えるな。ただな」
芥川は今自分と狐がいる場所の周りを見回してから述べた。
「この世界僕等の世界より広い感じがするな」
「ああ、自分等の世界の五倍の大きさや」
「地球自体がか」
「そうや、それで広さもな」
「それだけあるんやな」
「この日本にしてもな」
「随分広いな、ほな耕地やら何やら色々広そうやな」
芥川は狐の説明を聞いてこのことまで考えた。
「それで人も多い、尚且つこの世界には魔術やら何やら色々な技術が発展してるな」
「それはわしが今言うた通りや」
この世界の説明の中でだ、狐は芥川に既にこのことも話していた。
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