八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十八話 ノーヒットノーランその二
「いいことだよ」
「そうだよな」
「阪神にとってもな」
「藤浪さんがいいと違うからな」
「先発が一人しっかりしてるとな」
それだけで本当に違う、特に藤浪投手みたいな若い人がそうだとだ。
「頑張ってくれよ」
「これからもな」
「それじゃあ阪神このままリーグ優勝だな」
「そしてクライマックスも勝って」
「シリーズも勝ちたいな」
「阪神また日本一だぜ」
「何か日本一ってね」
僕はもう遠い時代になっている、けれどちょっと油断したら来てしまう暗黒時代のことを思いつつ皆に話した。
「夢みたいだよね」
「ああ、何かな」
「そうも思えるよな」
「阪神が毎年みたいに日本一とか」
「二十一年ぶりの優勝とか言ってたのにな」
昭和六十年、一九八五年の優勝の時だ。
「それが今は何年も連続して日本一だからな」
「嘘みたいだな」
「あの偉そうに盟主ぶっていた巨人が十年連続最下位でな」
「やたらよいしょしてた連中もテレビから消えてな」
顔が膨れ上がっていた元テレビ局の社員も倫理観が全く見られないガチャ目でスキンヘッドの奴も落語家じゃなくて北朝鮮の宣伝要員じゃないかと思えるヨネだか何だかいう奴もだ。全員芸能界から奇麗にいなくなってテレビも清潔になった。あと巨人とは関係ないけれど西成から出て来た品性も知性も教養も常識も見られないボクサーの一家は日本どころか今は何処にいるのかすらわからなくなっている。
「いい感じだよな」
「いや、本当にな」
「巨人人気も最下位になってな」
「収益も赤字続きだっていうし」
「親会社はもう倒産寸前らしいな」
「今何処の新聞社もそうだけれどな」
特に夏の高校野球を主催している嘘ばかり書く新聞社はだ。
「世の中正しくなったんだな」
「巨人が弱くなってな」
「昨日もあの様でな」
「見ていて気持ちよかったな」
「やっぱり巨人は弱い方がいいな」
「あんな負ける姿がいいチームないぜ」
「本当にそうだね」
僕も皆のその話に頷いた、その通りだと。
「何か巨人が弱いとね」
「日本がよくなる感じするよな」
「経済の調子もいいしな」
「負けるの見ると元気も出るし」
「巨人は負けろ、阪神は勝て」
「その通りだぜ」
皆でこうした話をした、そしてだった。
僕達は上機嫌で授業を受けた、最初の授業は世界史だったけれどその先生も阪神ファンだったので機嫌がよかった。
それにだ、僕はこの日あることに気付いた。その気付いたことについて一限目が終わってから皆に話した。
「今日涼しいね」
「あっ、そうだな」
「今日は何か涼しいな」
「昨日まで暑かったのに」
「今日は涼しいな」
「そうだよな」
「秋って感じだね」
僕は皆にこうも話した。
「今日は」
「まあ実際秋だしな」
「九月になったからな」
「それじゃあ涼しくならないとな」
「正直困るけれどな」
「その秋って感じがね」
まさにだ。
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