夢幻水滸伝
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第六十五話 人間の姿でなくともその十
「関西弁の訛りになるよ」
「それで太平洋組は大抵はか」
「関西弁なんだよ」
「この通りや」
白人のメルヴィルも流暢な関西弁で笑顔で話してきた、
「わしも関西弁や」
「わしは広島に多いけどな」
「ああ、鯉のあそこか」
「そや、映画の舞台にもなっとるわ」
「ヤクザ映画やな」
「自分詳しいな」
「広島の奴から話を聞いてるからな」
それで知っているとだ、メルヴィルは中里に返した。
「知ってるわ」
「広島のこともか」
「そや、まあわしの一人称はこうでもな」
「喋ってるのは関西弁やしな」
「それに関西でもわしって使うやろ」
「まあそれはな」
「そやからこれでいってるわ」
「わいはもう古い一人称みたいやな」
今度はトゥエインが言ってきた、アフリカ系の褐色の顔から笑顔で白い歯を見せつつの関西弁である。
「これはな」
「実際あまりおらんか?」
「そうみたいやな」
「けどあることはあるわ」
わいという一人称はというのだ。
「わての方が少ないか」
「そうやねんな」
「まあ関西の一人称は独特やな」
「まさに方言やな」
「それでえらく気に入って使ってるみたいやな」
「ああ、阪神タイガースも好きになったしな」
「阪神何時優勝するねん」
羅は腕を組み深刻な顔で言ってきた。
「ここの七人全員阪神好きやけどな」
「阪神の優勝か?今年に決まってるやろ」
中里は羅の問いに即座にしかも真顔で答えた。
「自分は何を言うてるんや」
「我もそう思いたいけどな」
それでもと言う羅だった。
「昨日その鯉に十対一で負けたやろ」
「それも甲子園でな」
「あんなんで優勝出来るんか」
「自分が思うにな」
施も言ってきた、どうもという顔で。
「エラーやフォアボールがかなりの確率で相手の決勝点につながる」
「あのことがか」
「一番あかんと思うけどな」
「それを言うとな」
中里も困った顔になり言う。
「阪神ならではや」
「ミスが致命傷になるのはか」
「あとここぞって時はや」
「負けるんやな」
「信じられへん負け方をする」
「それ伝統か」
「そうなってるわ」
「よお見たら防御率は悪くないのに」
アレンカールは関西弁ニュアンスのお姐言葉で言ってきた。
「ここぞって時に打たれるのよね」
「それも伝統や」
「打線がここぞって時に沈黙するのも」
「これまた伝統や」
「嫌な伝統ね」
「それでも今年はや」
中里は眉を曇らせたアレンカールに言い切った。
「絶対にや」
「優勝するの」
「ああ、断言する」
「あたいにその言葉を納得させられる根拠は?」
「今まで三連覇してる」
それでというのだ。
「今年もや」
「そうなればいいわね」
「阪神は大丈夫や」
芥川もはっきりと言い切る。
「あんなチームは他にはないわ」
「負け方もだね」
リーは芥川のその言葉に突っ込み返した。
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