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夢幻水滸伝

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第六十五話 人間の姿でなくともその九

「あいつとは何か話してるか?」
「はい、いつもよくしてもらっています」
「いい先輩です」
 二人は芥川のその問いにも答えた。
「几帳面で頼りになって」
「面倒見もいい人です」
「水産科でも評判ですよ」
「しっかりした人だと」
「あいつがうちの水軍、まあ海軍やな」 
 あちらの世界では水軍と海軍は曖昧なところがある、それでこう言ったのだ。
「あいつが采配執ってるからな」
「それで、ですね」
「海や川のことはですね」
「あいつに聞くんや、ではな」
「はい、それでは」
「吉川さんにはあちらの世界でもですね」
「これまで通り頼ってけばええわ」
 是非にと言うのだった、それでだった。
 二人とはこれからも話してだ、そのうえで。
 三人は自分達の校舎に戻った、そして普通科の三年生の校舎に戻るとそこにいるのは他の太平洋の神星の面々だった。
 その中からまずはだった、リーが言ってきた。
「日本統一おめでとうとです」
「まずはか」
「言わせてもらうよ」
 こう中里にも返した。
「今はね」
「今はか」
「そしてこれからは」
「ああ、自分等やな」
「覇権を争うおうね」
「言うが勝つのはこっちや」
 中里はリーに不敵な笑みでこの言葉を返した。
「それは言っておくで」
「そう言うんやね、ほなな」
「そっちもやな」
「受けて立つわ」
「正々堂々と勝負するで」
 今度はシェリルが言ってきた。
「ええな」
「ああ、そしてやな」
「勝つのはこっちや」
 南洋だというのだ。
「ええな」
「言うな、そっちも」
「何度でも言うで」
 いささかオーストラリア訛りと思われる独特の関西弁での言葉だった。
「こっちも」
「そうか、しかし自分もリーも口調変わってきたな」
「そやろか」
「前はクール一辺倒やったのにな」
 そうした喋り方だったというのだ、以前のシェリルは。
「そこに関西弁も入ってきたわ」
「実際私日本語はや」
 そのクールが基本の関西弁で答えるシェリルだった。
「こっちで覚えて喋ってるさかい」
「関西弁でか」
「それでや」
「基本クールでか」
「関西弁や」
 それを喋るというのだ。
「この通りな」
「そうやねんな」
「というか太平洋の星のモンは大抵やろ」
「関西弁か」
「日本は地域の方言が出てるけどな」
「日本の関西に留学している」
 それならとだ、リーが言ってきた。リーにしても喋り方のアクセントは関西のそれになっている。そこにシンガポールの言葉である中国語と英語が混ざったものが見られる。
「それならだよ」
「関西弁になるか」
「そうなるよ」
「成程な」
「それは私にしてもだよ」
 他ならぬリーもだというのだ。
「実際に関西弁があるね」
「あるな、実際に」
「何しろ今住んでいるのはその関西だからね」
 だからこそというのだ。 
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