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夢幻水滸伝

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第六十五話 人間の姿でなくともその八

 すぐにスマホを出してそれで人を呼んだ、すると一七〇程の背で日に焼けた顔に黒髪をスポーツ刈にした素朴な顔の少年が来た、その目は明るく澄んでいる。着ている制服はオレンジのブレザーにグレーのズボン、青のネクタイに白いブラウスといったものだ。
 その少年が尾崎達のところに来て言ってきた。
「この人達は」
「ああ、棟梁さん達だよ」 
 尾崎はその少年に答えた。
「この人達がね」
「そうなんだね」
「ああ、それで自分もな」
「挨拶をだね」
「しろよ」
 こう少年に言うのだった。
「今からな」
「わかったよ、あの」
 少年は綾乃達三人に顔を向けた、そうしてここで名乗った。
「僕が又吉一雄です」
「そうやねんな」
「はい」
 中里にも素朴で陽気な笑顔で答えた。
「こちらの世界でも宜しくお願いします」
「こちらこそな」
「はい、それでなのですが」
「それで?」
「こちらに来られた理由は」
 それはというと。
「何でしょうか」
「ああ、それはな」
 中里は又吉の問いに即座に答えた。
「こっちの世界の自分達に会いに来てん」
「それで、ですか」
「そうや」
 その通りだとだ、中里は又吉にまた話した。
「新たに仲間になった面々とこっちの世界でも親睦深めようって考えてな」
「それでわざわざ」
「ここまで来てん、他の学科も回ってるで」
 笑顔でだ、中里は又吉にこうも話した。
「もっともここが最後やけどな」
「そうでしたか」
「ああ、それでこれからはな」
「こちらの世界でもですね」
「宜しく頼むな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 中里は尾崎と又吉にだ、あらためて話した。
「これからまた何かあったらな」
「その時はですか」
「こうしてですか」
「話しような、あとな」
 自分のスマホを出してだ、中里はこうも話した。
「メアド交換しとこか」
「そうですね、何かあった時にです」
「連絡がつく様にしておきましょう」
「そうしていこな、もっともこっちの世界では大したことは起こらんな」
「そうですね、こっちの世界では平和です」
「少なくとも八条学園の中は」
 二人もこう答えた。
「別にです」
「何もないですね」
「そうや、それはええことにしてもな」
 それでもと言うのだった。
「あっちの世界はちゃうな」
「まだ戦が続きますね」
 又吉はその目の光を強くさせて中里に応えた。
「だからですね」
「そうや、あっちの世界はな」
「わからんな」
「それで、ですね」
「あっちの世界のことも話してこな」
「そうしていきますか」
「是非な、まあこっちの世界でも話していこな」
「宜しくな」
 笑顔でだ、ここで言ったのは綾乃だった。
「こっちの世界でも仲良くな」
「僕もな、あと水産科には吉川もおるな」
 芥川は彼の話もした。 
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