夢幻水滸伝
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第六十四話 頼りになる後輩達その七
「あたい達にしてもそうだし」
「それが不思議やね」
「これも縁かしらね。けれど商業科にいたらね」
「女の子にもてるわ」
「もうもててもてて仕方ないわ」
武者小路は自分の右手をその頬に当てて笑って言った。
「あたいこれまで三回告白されてるのよ」
「私は四回やで」
「あら、もてるじゃない」
「何でも性格がいいってことで」
「ここでもてん奴はリア充爆発しろって言うな」
まさにとだ、芥川は笑って言った。
「けど僕等はそうしたことは言わん」
「先輩達も彼女が」
「それは言わんけどな」
内緒だとだ、芥川は石川に即答で返した。
「けどそこで嫉妬することはせんわ」
「そうですか」
「そんなにもてたかったら商業科か農業科に行けや」
その論理になるというのだ。
「そうなるからな」
「冷静ですね」
「当たり前や、もてんからって嫉妬するとかな」
それこそと言う芥川だった。
「アホやろ」
「まあそうなりますね」
「逆に女の子は大変ですばい」
純奈は苦笑いして話した。
「何しろ男の子が少ないですから」
「彼氏の取り合いやな」
「はい、そうなっちょりますばい」
実際にというのだ。
「それが商業科ですばい」
「そして農業科もやな」
「そうですばい」
「それでも女の子の力が絶大なのよね、商業科って」
女の子よりも女の子らしい仕草で言う武者小路だった、ただし声は完全に男の声だ。実に恰好いいものだ。
「もう逆らったらね」
「生きていけへんからな」
石川もこう言う。
「男は二番目や」
「女の子が一番でね」
「何か商業科も大変やな」
中原は商業科の男子二人の言葉を聞いて呟く様にして言った。
「女の子は怖いっていうけれどな」
「侮ったら痛い目見ますよ」
武者小路はそこはと注意した。
「本当に」
「何かリアルな言葉やな」
「姉妹ばかりですから」
それでとだ、武者小路は中里に答えた。
「そうしたこともわかるんです」
「実経験からやな」
「この商業科でもそうですし」
「女の子は怖いんか」
「夜叉ですよ」
この妖怪の如きというのだ。
「それか羅刹か」
「鬼やろ、どっちも」
「はい、鬼女なんですよ」
女はというのだ。
「ですから女の子は怒らせたら駄目です」
「そこは要注意やな」
「はい」
また言う武者小路だった。
「くれぐれも」
「そうやな、そこは気をつけてくか」
「そうして下さい」
石川も言ってきた。
「商業科にいれば骨身に滲みることですから」
「二人共切実やな」
「そんなに怖かと?」
女の子である純奈は怪訝な顔になり武者小路と石川に問うた。
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