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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百六十六話 長くなってきた夜その六

「小田原城からな」
「あそこから街も囲んだお城が日本から出て」
「大坂城もそうだった、あと会津若松城もか」
「ああ、あの戊辰戦争の」
「そうだ、会津松平家の城だ」
「東北第一のお城って言われてますね」
「あの城も大きくてだ」
 それでというのだ。
「堀や壁で街も囲んでいた」
「そうしたお城だったんですね」
「伊達家への付け城だったからな」
「大きなお城だったんですね」
「そうだった」
 会津藩は幕府にとって長州藩や薩摩藩と並ぶ潜在的な脅威、敵だった伊達家即ち仙台藩への備えだったのだ。それが逆に江戸の方から攻め込んできた新政府軍との戦に使われたのは歴史の因果だろうか。
「天守も見事だ」
「あの天守閣いいですよね」 
 詩織さんはここで井上さんに言った。
「会津若松城のあれは」
「そうだな」
「高くて奇麗で」
「美しいな」
「はい、芸術的ですよね」
「まさに東北一の城だと言われているだけのな」
 それだけのというのだ。
「見事なものだ」
「全くですよね、秋田には」
「あそこまでの城がだな」
「そもそもないですから、青葉城も」
 その松平家が敵としていた伊達家のお城だ。
「立派ですけれどね」
「あそこは実質七十万石位の家の城だからな」
「仙台藩ですね」
「あの藩は大藩でしかも名門だった」
「伊達家ですからね」
「だからそれだけにだ」
「あそこまでのお城なんですね、秋田は」 
 今度は自分の出身地の話をした詩織さんだった。
「佐竹家でして」
「佐竹も名門だが」
「関東八家のですね」
「そもそもな」
「そうですが伊達家と比べると石高とかが」
 それも問題でというのだ。
「全く違うんで」
「格が違うか」
「そうした気持ちはあります」
「伊達家と佐竹家は格式では然程違わないと思うが」
 井上さんは詩織さんの言葉に首を傾げる感じで返した。
「戦国時代はライバル関係だったではないか」
「義重公ですね」
「義重公と政宗公は激しく争っていたからな」
 関東と東北でそれぞれだ、戦国時代は東国でも覇権を争っていて伊達家と佐竹家もそうした関係だったという。
「そう思うとな」
「江戸時代の石高が違うんで」
「それでなのか」
「格落ちの感じがします」
「秋田人としてはか」
「どうしても」
「そんなのましよ」
 ここでこう言ってきたのは香織さんだった。
「北海道松前藩よ」
「凄く小さな藩よ」
 美沙さんも言ってきた、北海道の人達二人でだ。
「一万石で」
「しかも何かと評判の悪い」
「アイヌの人達への弾圧とかね」
「いつも悪く書かれているお家なのよ」
「松前藩は確かに評判が悪いな」 
 井上さんも二人にこう返した。
「何かとな」
「ですよね、本当に」
「江戸時代の藩の中では」
「だからだな、それにお城も五稜郭だ」
 北海道のお城というとだ。 
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