夢幻水滸伝
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第六十四話 頼りになる後輩達その三
「一年でトップですから」
「へえ、そうなん」
綾乃は雪路の言葉を受けてから宮子をあらためて見た。
「それは凄いやん」
「実は将来薬剤師を目指していまして」
その宮子の言葉だ。
「それでなんです」
「勉強頑張ってるんやね」
「薬学部を目指しています」
「あっ、八条大学にもあるし」
「そちらへの進学を目指しています」
そう考えているというのだ。
「それで勉強頑張っています」
「ええね、頑張ってや」
「有り難うございます、そうさせてもらいます」
「萩原は努力家でして」
今度は宮沢が言ってきた。
「おらとは全く違うんです」
「かく言うこいつも結構頑張り屋ですよ」
雪路は宮沢のことも話した。
「成績はそこそこですが友達思いでクラスの仕事は率先してやってくれるって有名なんです」
「そだか」
「評判だよ」
「そだったらええだが」
「ああ、けど中川っていうだろ」
「あいつか」
「あいつは助けない方がいいみたいだよ」
ここで雪路は宮沢に注意した。
「どうもね」
「どしてだ」
「全然感謝しないで人を利用するだけの奴だってね」
雪路はその人物のことを話した。
「それで強い奴にはへこへこしてね」
「弱い奴にはだか」
「偉そうにするみたいだからね」
「性格悪いだか」
「相当みたいだね」
雪路は宮沢にさらに話した。
「どうも」
「そだったか」
「ああ、しかも図々しくて遠慮がなくてね」
「そんな奴だったか」
「あいつの隣の部屋の奴が言ってたよ、うちのクラスの時任だよ」
「時任か」
「そうさ、とにかくあいつはね」
雪路は宮沢にさらに話した。
「相手にしない方がいいよ」
「そんな奴だったとは思わなかっただ」
「強い奴やお金持ってる奴にはへらへらするから」
「そうでない奴にはだか」
「凄く態度が悪いんだよ」
「何かめっちゃ性格悪い奴みたいやな」
中里もその話を聞いて言った。
「何処でもそんな奴はおるな」
「そんな奴は無視することや」
芥川も言った。
「しょうもない屑は相手にするだけ無駄や」
「よく見極めていきます」
宮沢は二人に真剣に答えた。
「そいつのことも」
「そうした方がええで」
「人によって態度変えるとかええ奴やないしな」
「そうしたことは気をつけてな、あんたの善意を利用する奴もいるからね」
雪路はまた宮沢に話した。
「気をつけなよ」
「わかっただ」
「あいつは最低な奴だからね」
「そんな奴だったか」
「あたしが見てもね」
「私もそう思うし」
宮子も言ってきた。
「中川君はいい人じゃないわ」
「おめもそう言うだか」
「言うわよ、あれはどうしようもないわ」
「まあそうした奴とは付き合うことはないわ」
ここで中里も言ってきた。
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