夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十三話 現実世界に戻りその十
「わからないですね」
「それぞれあっちの世界じゃリザードマンと山羊人やからな」
「はい、ですが」
「中身は一緒やな」
「はい、魂は」
こう中里に答えたのだった。
「同じです」
「そやったな」
「何かと違いますが」
それぞれの世界で、というのだ。
「そこは同じです」
「そやからこっちの世界でもやな」
「宜しくお願いします」
「わかったわ、それでな」
中里は遠藤にさらに話した。
「今うちにおる二年の普通科で星のモンはな」
「自分達と、ですね」
「夏目と雅ちゃん、あと滝沢やな」
「はい、そうですね」
亜紀も言ってきた、外見は違うが声はあちらの世界と変わらない。このことは誰もがであり口調もそうだ。
「六人ですね」
「今のとこはな、二年の星の奴も多いけどな」
「商業科とか工業科の子が多いで」
綾乃が横から言ってきた。
「案外な」
「そうやねんな」
「このことは一年の子達もやけど」
あちらの世界では人の星の者達だ。
「そうなってるで」
「そやな、うちの学園ならではやな」
「学科も多いしな」
「そうなってるな」
「そういうことやね」
「実は進学の時に工業科も考えていました」
「わたくしは特進科を」
遠藤と亜紀はそれぞれこう言ってきた。
「ですが僅かに成績が及ばなく普通科にしました」
「親と話して普通科の方がいいのではとなりまして」
「それでそれぞれ今こっちにおるんやな」
芥川は腕を組んで述べた。
「そういうことやな」
「そうなりますね」
亜紀はその芥川に真面目な顔で答えた。
「我々は」
「そやねんな、それでな」
さらに言う芥川だった。
「これから時々な」
「こちらにですね」
「来ることもあるけどな」
「その時はですね」
「宜しく頼むな」
「はい、こちらこそ」
「宜しくお願いします」
亜紀と遠藤が応えた、そして麻友は無言で頭を下げてからこう言ってきた。
「吉君共々宜しくお願いしますね」
「幸田とか」
「あたしと吉君はずっと一緒にいますから」
「幼馴染みでか」
「はい、東京の葛飾の時から」
「それで今もやな」
「はい」
そうだというのだ。
「一緒にいますから、お昼は毎日一緒ですよ」
「そうやねんな」
「寮なので愛妻弁当はなしですが」
お互いそこで暮らしているので、というのだ。
「それでもです」
「昼飯いつも一緒か」
「そうしてますから」
「二人セットでか」
「宜しくお願いしますね」
「こっちこそな、しかし二人共あれか」
芥川は麻友の礼儀正しくかつ明るい応対に考える顔になって述べた。
「付き合ってるんか」
「はい、仲良く」
実際にという返事だった。
ページ上へ戻る