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夢幻水滸伝

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第六十三話 現実世界に戻りその四

「これがな」
「それで自分のところもか」
「そや、お母さんは普通に結婚してな」
「苗字が変わったんだな」
「それで一番上の叔母さんがな」
 難波の母が長女なので次女の彼女は一番上となるのだ。
「婿養子さん迎えたんや」
「成程な」
「お寺にな」
「というか御前の母方の家はお寺か」
「浄土真宗のな」
 この宗派のというのだ。
「お寺やで」
「そうなんだな」
「大阪の方のな」
「浄土真宗の拠点か」
「そや、大阪はな」
 まさにとだ、難波は幸田にこのことも話した。
「西本願寺もあるしな」
「そうだったよな」
「東本願寺は京都でな」
「分裂したんだよな」
「戦国時代とは違ってな」
 東西に分かれたのは豊臣秀吉と徳川家康の宗教政策の一環だった、最初は秀吉が西の方を立てたが後の徳川家康は東を立てたのだ。かつて織田信長を苦しめるまでに勢力を誇った本願寺の勢力を弱める為の政策だったという。
「そうなったわ、それでな」
「大阪はか」
「そのうちの一つや」
 本願寺の拠点のというのだ。
「そこにお母さんの実家があるんや」
「それで御前の苗字もか」
「母方で言うとに竹山なるんや」
「それで父方だと難波か」
「今の苗字や」
「成程な」
「まあそうしたことはええわ、お寺は従兄の兄さんが今八条大学で浄土真宗勉強してるし」
 僧侶になる為のそれを行っているというのだ。
「後を継ぐのはな」
「従兄の兄さんでか」
「僕は僕や」
 そうなっているというのだ。
「自転車漕いでるんや」
「自転車部でな」
「そういうことや」
 幸田にこのことも話したのだった。
「それで今も部活の話をしてた」
「そのことはわかったわ」 
 芥川がここまで聞いて言った。
「よくな」
「ああ、そういうことなんだよ」
 幸田がその芥川に応えた。
「だから難波が今ここにいるんだよ」
「自分も部活に励んでるんやな」
「ああ、そっちも漫才頑張ってるな」
「漫才は奥が深いからな」
「弟子もいるよな」
「佐藤兄妹な」
 この二人がというのだ。
「あっちは二人でやってるわ」
「コンビの漫才か」
「双子でな」
「それで御前はあれか」
「ああ、ピンや」
 一人で行っているというのだ。
「そうしてるわ」
「そのこともわかったぜ」
「ああ、ほなこっちの世界でもな」
「宜しくだな」
「頼むで」
 芥川は幸田に笑って言った、するとここで太宰が坂口と共に美鈴を連れて来た。美鈴は一五〇位の背で濃紺のブレザーと丈の短いスカートに黒のハイソックスという恰好だ。ブラウスは白でアイボリーネックは青である、茶色く長い髪はウェーブがかかっていて丸くて黒目がちの目と小さな唇が印象的だ。顔は全体的に丸い。 
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