夢幻水滸伝
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第六十三話 現実世界に戻りその三
「おいらに用かい?」
「自分ともこっちの世界であらためて挨拶したかったけどな」
「同じクラスだしな」
「けれどクラスにおらんかったからな」
芥川は幸田にこのことから話した。
「そやからな」
「後回しか」
「そうしたんだけれどな」
「ちょっとな、こいつも入れて部活の話をしてたんだよ」
幸田は難波を右の親指で指示して説明した。
「自転車部のな」
「やっぱりそうか」
「今日の練習のことでな」
「そういうことなんや」
難波も言ってきた。
「練習変えてみよかってな」
「そんな話をしていたんだよ」
「僕は練習とか競技のことは考えんで走るだけやけどな」
「そういうのは全部部長であるおいらが考えてるけれどな」
それでもとだ、幸田はさらに話した。
「こいつがうちの部で一番速いんだよ、クライマーもスプリンターも両方出来てな」
「それで僕を参考にしてな」
「練習をどう変えるかって話をしていたんだよ」
「そうなんやな」
中里は二人のその話を聞いて頷いた。
「その辺りの事情わかったわ」
「それは何よりだよ、じゃあこっちの世界でもあっちの世界でもな」
「宜しくな」
「お互いにな」
「僕はロシアで楽しくやってるで」
難波も難波で言ってきた、不気味な笑顔で。
「暴れ放題でめっちゃええわ」
「暴れ放題か」
「そや、もう戦は多いし敵は倒し放題や」
中里にその不気味な笑顔で話していく。
「こんなええ場所ないよ」
「自分あっちの世界でも暴れてるんやな」
「戦の時はな、あと政もしてるけど」
「ロシアは政治もえぐいらしいな」
「反対する相手は粛清や」
「あの国らしいな」
「雷帝みたいでごっつうええで」
こうも言う難波だった。
「ロシアに入ってよかったわ」
「そういうもんか」
「僕にとってはな」
「そういえば自分難波って名前やけど」
ここで言ったのは芥川だった。
「確かお母さん作家の竹山香さんやったな」
「ラノベ書いてるで」
「苗字違うのはあれか」
「そや、お母さんは結婚する前の苗字使ってるねん」
ペンネームにというのだ。
「それでや」
「苗字が違うねんな、親子で」
「僕もお父さんが婿養子やったら竹山になってたわ」
この苗字にというのだ。
「お母さん四人姉妹の長女やしな」
「四人姉妹か」
「そや、一番上の叔母さんが婿養子迎えてん」
そうなったというのだ。
「それであっちの家継いでるねん」
「今婿養子って結構珍しいと思うけれどな」
幸田がここでこう言った。
「そういうのは」
「いや、結構あるで」
難波は幸田にすぐに応えて言った。
「名家とかそんなんやなくてもな」
「あるのか?」
「お寺とか天理教の教会とかな」
「宗教関係やとか」
「結構あるで」
こう幸田に話した。
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