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結城友奈は勇者である ー勇者部の章ー

作者:あさりん
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帰ってきた魔王様

「考え…ですか?」
「そうよ樹、風がいないなら、みんなが風になればいいのよ!」
「「「え?」」」
夏凛を除く全員の目が点になった。
「ふふん、驚いたでしょ?」
夏凛は腰に手を当て、得意げにそう言った。
「あ、そっか!うんうん、流石にぼっしーだよ」
「ええっ!?そのちゃん分かったの?」
「見ててねゆーゆ、ゴホン…あー、今日のアタシ、女子力がマックスに高まってきてる気がするわー!」
「そのっち…?」
東郷は園子様の行動に困惑した。
(一体何をしているの…?)
「やっぱー、女子力を高めるにはうどんよ!うどん!朝昼晩、必ずうどんを食べることが、女子力を高めるのに必要なことなのよ!」
今度は夏凛が言う。
「わー!夏凛ちゃんそっくり!」
友奈が口に手を当てて、びっくりしながら夏凛を賞賛した。
「もしかして、お姉ちゃんの真似をして、寂しさを紛らわすっていう…」
「!なるほど…そういうことだったのね」
東郷はちょっと拍子抜けしたように苦笑した。
「そう!流石ね樹!樹もやってみなさいよ!」
「ええ…私はちょっと…」
夏凛はニヤッと笑い、からかうようにこう言った。
「樹、これも勇者には必要な資質よ?あなたの観察眼が試されるわ」
「夏凛さん、そっくり…よし、わかりました!やってみます」
「やるのね…」
東郷は苦笑した。
「…ゴホン……いやぁ、去年はほんと大変だったわー!アタシがチア部のヘルプに行った時の話なんだけどー!実は」
「あー風、その話はもういいから…」
夏凛が咄嗟に制止した。
「あ、思わず風って呼んじゃった。流石ね樹、姉妹ってだけのことはあるわ。それにしても、その話は聞きすぎてもう耳がタコになりそうよ」
次の瞬間、夏凛以外の全ての部員の表情が固まった。
「…はっ!か、夏凛ちゃん、もうそのへんでやめといたほうが…」
何故か友奈があわあわと慌てだした。
「?一体何なのよ…」
夏凛は訳が分からないと言った様子だ。
「か〜り〜ん〜ちゃ〜ん」
聞き慣れた声が聞こえた。夏凛はその瞬間に肩をビクッと震わせ、顔を青ざめさせながら目に涙をためて手を伸ばした。
「た、たすけ…」
「!夏凛ちゃん…ごめん…!」
勇者部員一同は一歩も動かなかった。いや、動けなかったのだ。その大きすぎる存在感と威圧感。縄張りのヌシには、誰も逆らうことは出来ない。
「そういうのは〜、耳にタコが出来るって言うのよ?」
「ゆ、ゆるして…」
「悪い子には、お仕置きよーっ!奥義!女子力マッサージ!」
「い、いやぁああああああ!!!!」
この後、めちゃくちゃほぐされた。


「いやあ、遅くなったわねーみんな!」
「風先輩、お久しぶりです!」
「風先輩、お勤めご苦労様です!」
友奈と東郷は同時に敬礼した。目線を真っ直ぐ、背筋も伸ばし、ビシッ!という音が聞こえてきそうだ。
「うむ、友奈、東郷、今日もお疲れ様ね」
「ふーみん先輩髪型変えたんですねー!オトナっぽくてかっこいい!」
風の髪型は、以前のロングツインテールから、柔らかそうなポニーテールになっていた。
「流石乃木ね。アタシの次に女子力があるかもしれないわ」
風は手を組んで、満足そうに頷いた。
「お姉ちゃん、学校終わったの?」
「まあね、高校も中学と終わる時間はあまり変わらないからね」
「はあ、はあ…ちょっと樹、こいつ、あまり忙しそうに見えないんだけど…」
抜け殻のようになっていた夏凛がやっと生き返り、会話に加わる。
「ああ、最近は色々あってね、色んな部活の手伝いをしてたわ。まあつってもすぐそこの高校だし、学校終わって速攻で帰れば、このくらいの時間には着くのよ」
西暦の時代では日本の四十七都道府県各地に高校があったらしいが、かつて人類の生存圏が四国のみだった神世紀では、ちょっと歩けばすぐに高校やら中学校やらがあるのだ。
「でも、友達と一緒に遊んだりとかしなくていいんですか?風先輩、きっと両性から引っ張りだこでしょうに」
東郷は不思議そうに首を傾げた。
「いやぁまあ誘われることがないわけじゃないけど…やっぱり、アタシは勇者部が一番なのよ」
これを聞いてみんなの顔がぱーっと晴れた。風先輩の気持ち、勇者部みんなの気持ち、それが重なったことが、嬉しかったのだ。
「もう…お姉ちゃんったら…」
「ちょっとちょっと、三日部活行かなかっただけでなんでこんな寂しそうな顔してんのよ…ははーん、さては、夏凛が私が居なくて落ち込んじゃったのねぇー?」
「ちょっ!そんなわけないじゃない!」
「おーよしよし、夏凛ちゃんさみしかったねー」
「なっ!なんなのよー!!!」
「やっぱり、夏凛ちゃんはふーみん先輩がいた方が嬉しそうだね〜、…ピッカーン!新しいネタを思いついたよ!早速執筆しないと!」
「ちょ、それはやめてええええ!」
(やっぱり、勇者部はこうでないと!)
友奈がいて、東郷がいて、風がいて、樹がいて、夏凛がいて、園子様がいて、みんなニコニコ笑ってる。それが、讃州中学勇者部。
(私、結城友奈は、勇者部が大好きです!) 
 

 
後書き
「あーは言ったけど、結局アタシ、毎日行けるわけじゃないからね!
忙しい時もあるし、それに彼氏が出来たら勇者部完・全・引・退だから!」
「「「ギャー!!!」」」
「なんてね、アハハ」 
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