夢幻水滸伝

　それへの対処の分玲子との戦いに後れを取る様になっていた、それで優勢だった状況が互角になっていた。
　それでだ、日毬はこう言ったのだった。
「こうした勝負もあるな」
「ああ、あたしは好きじゃないけれどね」
「これは戦だ」
　だからと言う日毬だった。
「こうした援護も当然のことだ」
「先輩も受け入れてるんだね」
「受け入れるしかない、試合や果し合いとは違う」
「戦はね」
「我々も援護等はする」
　今綾乃達がしている様なことはというのだ。
「だから同じだ、しかしな」
「姫巫女さんの援護は凄いだろ」
「全くだ」
　日毬も認めることだった。
「こうして受けてみるとな」
「攻撃を仕掛けても奇襲じゃないとね」
「勝てないと思っていた」
　三体共それぞれの玲子に対してすすすと間合いを詰めそうして接近戦を挑みつつ言う、その剣術は居合も入っている。
「そしてだ」
「こうなる可能性もだね」
「想定していたがな」
「そしてこうなったらだね」
「負けると思っていた」
　その様にというのだ。
「この通りにな」
「そうだね、先輩も」
「貴殿を倒して再び姫巫女殿に挑むつもりだったが」
「それも難しいっていうんだね」
「現実としてな、だからここはだ」
「切り札を出すのかい？」
「生憎出せるものは全て出している」
　本体の日毬が本体の玲子の足元を払った、佐々木小次郎が編み出したと言われている燕返しという剣技だ。
「今も出したがな」
「燕返しだね」
「この技もかわされた」
　玲子は出したその瞬間に後ろに跳んでかわしたのだ。
「この通りにな」
「そしてこれまでもだね」
「気を飛ばしても鎌ィ足も術も共に放ってもだ」
　そうしてもというのだ。
「全てかわされる」
「だからだね」
「これでは中々だ」
　それでもというのだ。
「私も貴殿に勝つことが出来ない」
「そう言うんだね」
「ここはだ」
　まさにと言うのだった。
「私も秘剣を出すしかない」
「やっぱりそう来るね」
「それで貴殿を倒す」
　構え、居合のそれを取って玲子を見据えた。その全身から紅の気が沸き上がり炎の様に見えた。
「今からな」
「そうだね、じゃああたしもね」
「秘剣を出すか」
「いやいや、あたしは槍だから」
　その朱槍を手にしているのを感じつつだ、玲子は日毬に答えた。
「刀じゃないよ」
「そうだな、では秘剣ではないな」
「強いて言うなら秘槍だよ」
　冗談めかして日毬に話した。
「奥義になるがね」
「その奥義でだな」
「先輩の秘剣に対するよ」
「わかった、ではどちらの技が上か勝負だ」
　日毬も応えそうしてだった。
　お互いに切り札を出しにかかった、玲子も構えを取る。すると彼女も全身から紅に燃え盛る様な気を出した。
　それぞれの切り札を出し決着をつけようとしている二人のすぐ近くで幸田は室生との一騎打ちを続けていた、しかし。
　その一騎打ちの中で戦局を見てだ、彼は苦い顔になって言った。