夢幻水滸伝
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第六十二話 東国平定その八
「息を狭めてな」
「敵一人にやな」
「思いきり攻めるんやな」
「そのやり方が出来るか」
「そのことやな」
「そや、出来るかどうか」
このことを言うのだった。
「どうなん?」
「出来るで」
「あまり得意やないにしてもな」
「そうした息も吐けるで」
「一応な」
「ほなそれで頼むわ、一つの頭で敵の軍勢を攻撃し続けてな」
このことは忘れていなかった、綾乃は今も。
「そしてな」
「そしてやな」
「他の七つの頭でやな」
「一気に倒してくんやな」
「そうしてくんやな」
「そや、そうしてこな」
まさにと言ってだ、そしてだった。
大蛇は星の者達への攻撃を行った、幸田は上から来た攻撃範囲を狭め個人攻撃に絞った火球を跳んでかわして着地してから言った。
「危なかったな」
「よくかわした、しかしな」
「それでもか」
「辛いな」
「あんた一人だとおいらの方が有利さ」
これは事実だがというのだ。
「しかしな」
「姫巫女殿の攻撃が加わるとな」
「その分辛いぜ」
幸田は室生に今の自分達の状況を正直に話した。
「どうもな」
「そうだな、これで私も他の者もだ」
「互角にか」
「何とか戦える」
そうなったというのだ。
「これまでは劣勢は否定出来なかったがな」
「やれやれだな、しかしおいら達だってな」
「負ける訳にはいかないな」
「そうさ」
幸田は室生を見据えて彼に答えた。
「こっちにも意地があるんでな」
「日本統一を目指しているな」
「だからな」
その目的の為にというのだ。
「これで退くつもりはないぜ」
「まだ戦うな」
「動けなくなるまでな」
そこまで至るまでというのだ。
「戦うぜ」
「わかった、ではな」
「ああ、まだやるぜ」
こう言ってだ、幸田は室生と闘い続けた。綾乃からの攻撃も加わったがそれでも士気は萎えていなかった。
だが戦局はいよいよ東国にとって劣勢になっていった、日毬も綾乃の術をかわしてから居合の要領で遠間にいる玲子に鎌ィ足を放って言った。
「強いな、流石に」
「姫巫女さんがだね」
「うむ、その攻撃が加わるとだ」
実にというのだ。
「そのことを実感する」
「あたしとしては一対一が好きなんだけれどね」
「それでもだな」
「今は勝つことが大事だからね」
戦のことを考えればというのだ。
「姫巫女さんの援護は断らないよ」
「そうだな」
「ああ、それじゃあな」
玲子は綾乃との間合いを一気に詰めつつ言ってきた。
「あたしも戦うよ」
「私もだ、ではだ」
「どっちが勝つかね」
「勝負を続けよう」
日毬は綾乃そして大蛇からの攻撃をかわしつつ玲子との勝負を続けた、確かにだった。
彼女だけでは有利だったが綾乃達からの玲子への援護を受けると。
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