夢幻水滸伝
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第六十二話 東国平定その七
「このまま戦っていっても」
「そうしてもですね」
「劣勢になっていく一方ですね」
「最早」
「そうなるわ、どうしようもないかも知れないわね」
千歳は大蛇の背から術を放ち東国の軍勢を叩いていく綾乃を見上げつつ言った。
「こうなっては」
「あの方はやはり」
「そう容易には討ち取れないですね」
「流石は神星の中でも三極のお一人」
「奇襲を成功させなければ」
「勝てなかったかも知れないわね、けれどここで退いても」
どうなのか、千歳はこのこともよくわかっていた。
「どうしようもないわ」
「そうですね」
「では、ですね」
「ここは」
「戦うしかないわ」
これが千歳の判断だった。
「それも最後の最後まで」
「諦めずに」
「退かずにですね」
「ここで戦い」
「逆転を目指すしかないですね」
「私達はここで負けたら終わりだから」
関西に対する敗北を認めるしかないというのだ。
「だからね」
「ここはですね」
「最後まで戦って」
「そして関西の棟梁を討つか捕らえる」
「それしかないですね」
「ええ、姫巫女さんの攻撃は私達にも来るでしょうけれど」
軍勢を攻撃し終えた後はというのだ。
「それでもね」
「戦うしかないですね」
「最後の最後まで」
「こうなったら」
「そうよ、戦っていくわ」
こう言ってだ、千歳は綾乃を見据えたまま采配を執りそのうえで綾乃にも風水の術で自然の力を操って攻撃を行っていた。
だがそれだけでは綾乃への牽制は出来ても倒せない、それで綾乃も東国の軍勢に攻撃を続けていた。
そしてだ、大蛇は軍勢への打撃がかなり進んだところで自分の主にその八つの頭で言ったのだった。
「もうそろそろな」
「敵の軍勢への攻めはええやろ」
「大体七割か八割は叩いた」
「後はこっちの軍勢で叩ける」
「それでも攻撃は続けるけれどな」
それでもというのだ。
「そっちはある程度に抑えてな」
「今度は星の奴への攻撃するか」
「室生さん達と戦ってるな」
「そやね、もう軍勢への攻撃は充分やし」
綾乃もその状況を見て大蛇に応えた。
「これからはな」
「そや、星の連中や」
「そっちを攻撃するで」
「そしてそのうえでや」
「室生さん達の援護をするで」
「そうしてくか、幸田君達強いから」
見れば今も充分な戦いぶりだ、室生達は受けて立っているとはいえ劣勢は否めない状況になっている。
「ここはやね」
「室生さん達を援護や」
「そうしていってや」
「戦を勝ってくで」
「そうしてくで」
「そうしてこうな」
こう言ってだ、そのうえでだった。
綾乃は攻撃を主に幸田達に向けた、そうして彼等にダメージを与え牽制すると共に室生達への援護とした。だがそれだけではなく。
大蛇にだ、綾乃はこう言った。
「あんたも幸田君達攻撃出来る?」
「息でか」
「それが出来るかやな」
「そや、いつもの広範囲に吐く息でなくな」
そうして敵をまとめて攻めているのだ、八つの頭でのその息による次々と浴びせる広範囲の攻撃が大蛇の戦い方なのだ。
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