八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十三話 秋のはじまりその七
「私はそう思います」
「そうですか、まあ自分を尊敬するなとかいつも笑っていても」
「そのお心は高い方です」
「あれですね、黄金の精神ですね」
僕は最近ネットで知ったこの言葉をここで出した。
「親父は」
「人の道は踏み外していないですね」
「それは絶対にないんですよね」
人として守るべきことは全て守っている、お袋がいた時から女遊びはしていたけれどだ。これはお袋も許していたんじゃないかと今は思っている。
「人妻さんや彼氏がいる人とは遊ばないですし」
「そうですね」
「遊びまくっていても」
「伊藤博文さんの遊び方ですね」
親父の遊び方はというのだ。
「あの人も確かに女好きでしたが」
「相当だったみたいですね」
「艶福家として有名でした」
このことも明治帝に咎められたこともあったらしい。
「ですがそれでもです」
「その遊び方はですね」
「おかしな風説もありますが」
「実際はですね」
「そうしたことはなく」
誰かの奥さんに手を出したとか嫌がる女の人を無理にとかだ、伊藤博文は生前そんな噂を実際にかけられたらしい。
「そうした相手がいない人とです」
「遊んでいたんですね」
「そうしたことは弁えていました」
「トラブルを避ける為だったとか」
「そうでした」
「そして親父はですね」
「あの人の遊び方です」
その伊藤博文さんのというのだ。
「私はそう思います」
「伊藤博文さんは凄い人でしたね」
「政治家として立派なだけではありませんでした」
「そうしたことも弁えていた」
「人格もかなりです」
「凄かった人なんですね」
「陽気で面倒見もよく」
そして何と漢詩でも有名だったらしい、それだけの教養も兼ね備えていたということか。そういえば山縣有朋も有名な歌人でもあったという。
「優れた方でした」
「人格的にも」
「そうだったのです」
「だから好かれてもいたんですね」
「生前から」
国葬の時は多くの人が参列したという。
「慕われてもいました」
「そうなんですね」
「そして止様もです」
「伊藤博文さんですか」
「はい、そうした遊び方は同じかと」
派手に遊んでいる様で節度を備えたそれはというのだ。
「私が思いますに、そして外科医としてです」
「多くの人を助けている」
「このことも素晴らしいです、義和様も今もですね」
「お金いらないって言ってるんですが」
僕は苦笑いで畑中さんにこのことを話した。
「送ってきます」
「一緒に暮らしておられた時からお家にお金を入れられて」
「それも充分以上に」
「お家に帰られて家事もですね」
「してました」
お料理に洗濯もだ、最も洗濯は洗剤を入れてタイマーをセットして予約のスイッチを入れて終わりで干すのは僕がしていた。そしてお掃除はしても苦手なので実際は僕がすることが多かったけれどだ。
「食器も食器洗い機にちゃんと入れて」
「されていましたね」
「家事は忘れていませんでした」
苦手なものがあってもだ。
「本当に」
「そうした方なので」
「親父には黄金の精神がありますか」
「はい、ですから義和様はです」
「その黄金の精神をですね」
「受け継がれて下さい」
是非にという言葉だった。
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