夢幻水滸伝
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第六十一話 読んでいた夜襲その九
「最後はな」
「その時は」
「笑っていような」
「そういうことね」
「この調子で戦ってるとな」
幸田は今度は自分から攻撃を繰り出した、虎徹を持っていない左手の掌を前に突き出してそこから雷の術を放ちそれで大蛇を撃ったが。
綾乃の術に防がれる、それでも言うのだった。
「そのうちな」
「他の星の人達が来るよね」
「あっちのな」
綾乃が率いている関西の星の者達がというのだ。
「その連中が来るだろうしな」
「そうよね」
「しかもな」
さらに話した幸田だった。
「兵隊だってな」
「うん、こっちの兵隊さん達も頑張ってるけれど」
「かなり激しい戦をしてるな」
「ええ、必死よ」
ここに連れて来た三千の兵達もというのだ、見れば実際に彼等は綾乃がいる本陣にいた関西の兵達と激しい切り合いを演じている。
「皆で」
「そうだよな」
「けれど兵隊さん達もね」
「来るからな」
こちらもというのだ。
「向こうの援軍がな」
「あまり長引いてくると」
「おいら達は時間も敵なんだよ」
そうした状況だというのだ。
「だから一気に攻めて勝つつもりだったがな」
「この状況は」
「願ってない状況だったよ」
前に進む、しかし綾乃の神器の出す風の障壁に阻まれどうしても先に進めない。それで間合いは詰められない。
「どうしてもな」
「そうよね」
「だが、だ」
ここで日毬が言ってきた。
「それで諦めるつもりはない、ならば私がだ」
「行くのか?」
「うむ、死ぬ気でだ」
決死の覚悟、それを以てというのだ。
「今から行く」
「それじゃあか」
「私の神器は今二つ使っているが」
「兼光と俱利伽羅丸だな」
「もう一本使う」
「和泉守をか」
「そうだ、出ろ和泉守」
日毬がこう言うとだ、腰にあったその和泉守がだ。
持たずとも出てだ、そうしてだった。
自然に攻撃をはじめた、それはまるで誰かが持っている様だった。
「これでどうだ」
「念動力か」
「これを使えば持たずともだ」
手でだ、そうせずともというのだ。
「こうして使うことが出来る」
「凄いものだな」
「だがこれで終わりではない」
ここでだ、日毬は。
もう一つ術を出した、何と分身の術を使ったのだ。本来は忍術であるが日毬は修行の中でこの術も身に着けたのだ。
一人の日毬が二人になり三人になる、そしてだった。
そのそれぞれの日毬が神器を持ちそうして戦う、三人となった日毬の強さは圧倒的で大蛇の攻撃もだ。
かわし凌ぎ切って消していく、その勢いは大蛇といえど止められるものではなかった。
それを見てだ、幸田は言った。
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