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夢幻水滸伝

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第六十話 兵達の慢心その十

「時が来た、それじゃあな」
「今よりだな」
「ああ、軍勢は部将達に言ってな」
「江戸までだな」
「退かせる、ただしな」
「その退き方だな」
「ああ、おいら達が去っても陣形はこのままだ」
 まずはそうしてというのだ。
「そして夜のうちにな」
「敵の目があまりないうちにか」
「一気に退くんだよ」
「江戸城までだな」
「夜なら例え攻められてもな」
「敵の反応も遅れる」
 夜で見えにくい分だ、このことはやはり大きい。
「それでだな」
「ああ、そうしてな」
「江戸城に入りか」
「籠城をしてもらうが」
「すぐには行わないな」
「おいら達が奇襲を仕掛ける時まではな」
 まさにその時まではというのだ。
「兵達にはな」
「動いてもらわずにだな」
「おいら達が奇襲を仕掛ける夜がいいか」
「その時にか」
「ああ、退いてもらう。そしてそれは」
「明日か」
「奇襲を仕掛けるならすぐだ」
 今まさにというのだ。
「明日にでもな」
「やるのだな」
「もう機と観たらな」
 その時にはというのだ。
「一気にだしな、それに敵は水戸城を出た」
「東北に向けて」
「あの城から東北への道の左右は山だ」
 このことは日本ならよくあることだ、この世界でも日本は四方を海に囲まれ実に山が多い地形なのだ。
「山に潜み低空か一気に仕掛けるなら」
「絶好だな」
「そうだよ、もうこれ以上はない位にな」
「奇襲を仕掛けやすい場所だからか」
「今日集まりだ」 
 星の者達がというのだ。
「明日にでもな」
「仕掛けるな」
「そうする、もう待ちに待ったんだ」
 幸田もこう言うのだった、負けん気が強い彼はこれまで攻められ続けることに内心じくじくたる思いだったのだ。
「その分だ」
「反撃だな」
「それに移る」
「ではな」
「電光石火でやっていくぞ」
 その勢いでというのだ、こう話してだった。
 幸田は実際にまずは他の星の者達に精兵三千を選ばせてだった、密かに水戸の北の山に送らせた。そのうえで。
 そこにいる遠藤達に空船も三千人分用意させた、それからだった。
 考えつつだ、こう言った。
「決めた、夜のうちにだ」
「夜のうちに?」
「ああ、色々考えたがな」
 こう麻友に答えた。
「仕掛けるその夜にあっちにな」
「移動するのね」
「転移の術を使ってな」
 そのうえでというのだ。
「御前のな」
「あたしが転移の術で吉君も先輩もなのね」
「当然千歳ちゃんもな」
 この場にいる四人の星達全員をというのだ。 
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