| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十話 兵達の慢心その九

「周りは警戒してるしな」
「空と陸からな」
「奇襲さえ受けんかったら大丈夫や」
「敵の数は少ないし」
「装備もこっちの方が上や」
「大丈夫や」
「この戦は勝てるわ」
 こう言って油断をその中に抱く様になっていた、彼等自身が気付かないうちに。
 だがその彼等を見てだ、遠藤はその目を鋭くさせて言った。
「よし、そろそろだな」
「頃合いだべ」
「遂にこの時がきましたね」
 遠藤と共にいる宮沢と宮子が続いた。
「敵兵は油断している節が出てきました」
「ある程度気を引き締めているところが残っていてもだ」
「ですが気が緩んできているのは確か」
「まさにこの時こそだ」
「この時を待っていた」
 まさにと言う遠藤だった、そしてだった。
 宮沢と宮子にだ、強い声で話した。
「棟梁にお話するぞ」
「そしてだ」
 宮沢もその目を光らせて応えた。
「おら達九人で」
「奇襲を仕掛ける」
「そうするだ」
「ここまで長かったですね」
 宮子の口調はしみじみとしたものだった。
「実に」
「攻められて攻められてな」
「もう関東は武蔵以外はです」
 江戸があるこの国以外はというのだ。
「ほぼ完全に関西の手に落ちています」
「そこまで攻められるまで耐えた」
「はい、しかし」
「もうそれもだ」
 まさにとだ、遠藤は宮子にも答えた。
「終わる」
「我々の一撃で」
「そうなるからだ」
 だからこそというのだ。
「やるぞ」
「そしてその為にも」
「これから棟梁にお話する」
「そうしてですね」
「姫巫女殿の首を取るぞ」
 綾乃、彼女を倒すというのだ。
「いいな」
「わかりました」
 宮子は遠藤の言葉に頷いた、そして宮沢が早速貝殻を出してそれで幸田に連絡をした。すると幸田はすぐにだった。
 強い声でだ、こう応えた。
「わかったぜ」
「そうだか」
「ああ、それじゃあな」
「今から星のモンが集まって」
「奇襲の話をするか」
「そうするだな」
「ああ、そしてな」
 さらに言う幸田だった、貝殻の向こうにいる宮沢に対して。
「機会を見てな」
「そのうえで」
「仕掛けるぞ」
 実際にだ、そうするというのだ。
「いいな」
「わかっただ」
「今からそっちに集めるからな」
 九人の星の者達をというのだ。
「待っていてくれ」
「そうさせてもらうだ」
 宮沢も応えてだ、そしてだった。
 いったん貝殻でのやり取りを終えた、そのうえで。
 幸田は実際にその場にいた日毬と麻友、そして千歳に言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧