夢幻水滸伝
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第六十話 兵達の慢心その四
戦は終わった、東国の軍勢は遂に城から出た。今回の戦も関西の圧勝に終わった。それで兵達もだ。
喜んで酒を飲み馳走を食って勝ちを祝いながらこんなことを話していた。
「このまま東北に行けるな」
「ああ、東北も全部占領や」
「蝦夷まで行けるで」
「今回楽な戦やな」
「そうなってるわ」
こう話してだ、飲んで食って騒いでいた。その彼等を見てだった。
大蛇は夜寝る時に綾乃にこっそりと話した、寝ている綾乃のすぐ傍に巨体のとぐろを巻かせて横たわっているのだ。
その状態でだ、本陣で横になっている主に話していた。
「兵達は勝ち戦に喜んでるわ」
「もう完全に勝った気や」
「今日の戦でな」
「まだ東北と蝦夷があるけどな」
「蝦夷も取った気でおるわ」
「そうなってるわ」
「既にな」
こう綾乃に話した。
「これはいよいよな」
「攻められる時や」
「奇襲を仕掛けるなら今や」
「東北に向かって北上した時や」
「その時に攻めて来るで」
「水戸城を出た辺りでな」
「それも夜にな」
人が寝るその時間帯にというのだ。
「来るで」
「そやからええな」
「戦の気構えや」
「それをしておくことや」
「そやからうちも今日は飲んでないで」
無類の酒好きにして大酒飲みであるがというのだ。
「今はな」
「もうわかってるからやな」
「それでやな」
「あえて飲まん様にして」
「それでやな」
「戦に備えてるな」
「そやで」
まさにというのだ。
「そうしてるねん」
「そや、幾らご主人でも酒の影響は受けるんや」
「一見すると酔ってない様でもな」
「実は酔ってるもんや」
「酔いは少しでも動きにはかなり影響する」
「そやから今は飲まんことや」
「敵が攻めてくるのが近いからな」
それは今日ではない、しかしというのだ。
「今から気構えしておくことや」
「東国との戦が決する時が迫ってるからな」
「ここは酒を控えてや」
「敵が来た時に備えておくで」
「ええな」
「そうしてるで、ほな城の修繕を済ませてな」
厩橋城の時の様にというのだ、術等も使ってとりあえず終えて本格的な修繕は城に残る者達や民達に任せている。
「それからな」
「東北に向けて北上する」
「そうするけどな」
「まさにその時にや」
「連中はいよいよ来るわ」
「そやね、その時にどうするか」
まさにと言うのだった。
「うちとしては」
「性根据えて戦ってもらうで」
「わしと一緒にな」
「このことは事前に他の星のモンとも話してな」
「気構えをしてな」
「それで迎え撃つで」
「そうしよな、ほな今は寝ようか」
綾乃はここまで話してだった、そっと目を閉じて眠りに入った。水戸城を攻め落としても彼女は油断していなかった。
そして幸田もだ、水戸城のことを聞いて言った。
「よし、もうな」
「機は熟したですね」
「そうよ」
千歳に威勢のいい声で応えた、これが今の彼の返事だった。
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