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夢幻水滸伝

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第六十話 兵達の慢心その二

「僕は僕のやることやる」
「そういうことやな、というかや」
 鵺は中里にこう返した。
「自分はやることがある」
「そや、上総に下総を占拠してな」
「安房もやな」
「そこも占拠してや」
 そのうえでというのだ。
「統治に進めていく」
「それでやな」
「そや、このまま兵を進めていくわ」
「それに専念してな」
「やることやってく、芥川も江戸がある」
 彼は彼でというのだ。
「それでや」
「棟梁さんもやな」
「やることがある、そしてそのやることがな」
「戦やな」
「それや、迫り来る敵とのな」
 まさにというのだ。
「そうなるわ」
「棟梁さんは果たすな」
「絶対とは言えんが綾乃ちゃんはほんまに強い」
 六将星の一人である中里から見てもというのだ。
「そやからな」
「勝てるか」
「そう見てる、僕はな」
「それでやな」
「攻めていくで」
 上総に下総、そして安房をとだ。こう言ってだった。
 中里は中里で彼のやるべきことを進めていっていた、しかし彼はその上総や下総について鵺にこうも言った。
「人も多くて産業もあってな」
「それでやな」
「結構ええ国やないか」
 鵺に国のことも言うのだった。
「もっともっとよくなるで」
「そやな、こっちもな」
「何で田舎なんや?」
 中里は首を傾げさせて言った。
「この辺りよおそう言われるけど」
「あと武蔵の北もやな」
「そこもや、あと上野に下野、常陸もな」
 そうした国々もというのだ。
「よお言われるけどな、田舎って」
「別にそうでもないな」
「ああ、というか江戸が大き過ぎるんやろ」
 これが中里の見立てだった。
「あの街がな」
「それは自分が起きた世界でもやな」
「ああ、起きた世界では今は東京っていうけどな」
 中里はそちらの世界のことも話した。
「世界屈指の大都市や」
「世界屈指か」
「そや、それで関東どころか日本の中心になってる」
「こっちの江戸よりさらに凄いな」
「ああ、ほんまにな」
「それが東京か。けど江戸もな」
「ああ、百万以上の人がおってな」
 そしてというのだ。
「めっちゃ賑やかでな」
「関東の中心になっててな」
「そこと比べたらな」
「この下総とかはな」
 鵺は自分達が今いる国のことを話した、本陣の近くにある村は人も多く田畑も肥えていて果樹園まである。
 その村のことを念頭に入れてだ、鵺は中里に話した。
「そこそこ以上にええ国やけどな」
「江戸がでか過ぎるせいでな」
「田舎に思われてるんか」
「そやろな、まあ統一したらな」
 その時はと言う中里だった。
「この辺りももっとや」
「栄えさせてくか」
「当然としてな、ほなな」
「このままやな」
「占領していくで」
 こう言ってだ、中里は関東南東の三国の占領を進めていった。彼は彼でやるべきことを進めていった。 
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