夢幻水滸伝
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第五十九話 仕込みの奇襲その十七
「料理は仕込みでな」
「戦もだ」
「そういうことですね」
「そうだ、だからな」
「今は負けておくだ」
「そうしますね」
「そうする、だがもう負けるにしてもだ」
それもというのだ。
「そろそろだ、仕掛ける時は本当に近い」
「その時に備えてだ」
「水戸城でも負けましょう」
二人は遠藤の言葉に頷いた、そしてだった。
彼等も食事を摂った、ここで遠藤は宮子が出した納豆を見てこんなことを言った。
「納豆か、ここに来て毎朝だな」
「はい、そうですね」
宮子もこう返した。
「常陸に来てから」
「実は実家ではな」
「納豆を食べていますか」
「それと味噌汁が出る」
「それはいい組み合わせですね」
「逆に朝に納豆がないとな」
遠藤としてはとだ、リザードマンのその顔にうっすらと笑みを浮かべてそのうえで納豆を見ている。
「物足りない」
「ではパンは」
「嫌いじゃないがな」
それでもというのだった。
「やはり自分は朝はな」
「納豆とそれに合う御飯ですね」
「それと味噌汁だ」
「成程、では今朝も」
「納豆を食うか」
「そうしましょう」
「食って力を蓄えてだ」
宮沢も言う。
「そしてだ」
「あえて負けよう」
遠藤はここでもこう言った、そうして今は仲間達そして将兵達と共に納豆ご飯を食べた。それは彼にとっていつもの美味しさがあった。
第五十九話 完
2018・3・24
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