八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十話 午後に何をするのかその十四
「あちらも」
「何か違う言語みたいってね」
「言われてるし」
「まあ確かに方言もね」
「北海道と東北じゃ違うわね」
「そうよね」
そちらでもだ。
「むしろ北海道の言葉の方がわかりやすい?」
「そうかもね」
「秋田でもね」
詩織さんはお国の話もした。
「結構癖が強いから」
「方言としてね」
「岩手とかもね」
こちらの県の方言もというのだ。
「結構わかりにくいかも」
「あっちもなの」
「宮城とか福島はまだましかも知れないけれど」
「じゃあ仙台はまだなの」
「あそこは結構標準語に近いかも、あと本当に青森は」
「津軽は」
「東北人からしてみても凄いわね」
その訛りがというのだ。
「太宰治も喋ってたけれど」
「その人津軽のお話したら絶対出ない?」
「そうかも。あそこで一番の有名人だから」
そのせいでとだ、詩織さんも否定しなかった。
「出るわね」
「どうしてもね」
「鹿児島で言うと西郷さん?」
「全然キャラ違うけれどね」
「あそこの有名人だから」
本当に津軽というと太宰治というイメージが強い、あとは林檎と冬だろうか。冬は演歌で有名になったと思う。
「だからね」
「絶対に名前が出るの」
「実際にそうでしょ」
「ええ、津軽っていうとね」
「太宰さんよね」
「そうよね」
香織さんも認めることだった。
「やっぱり」
「それであそこの人もなの」
つまり津軽の人達もというのだ。
「よくお話に出すわよ」
「地元の文豪だから」
「最近海外でも有名だし」
太宰治も今や世界的作家ということか。
「走れメロスとかね」
「というか走れメロスってもうね」
「太宰の代表作中の代表作よね」
「あれは誰でも読んだことあるでしょ」
「教科書にも出てね」
「それこそね、そう思うと北海道は」
香織さんは故郷のことをここで話した。
「有名人は」
「結構いるでしょ」
「そうなるかしら」
「俳優でも作家さんでもね」
「作家さんって小林多喜二さん?」
香織さんが出したのはこの人だった、プロレタリア作家としてかなり有名だ。
「あの人?」
「その人もだしね、結構出て来るでしょ」
「広いせいかしら」
「そう思うといいじゃない」
「そうなるかしら」
「北海道いいわよ」
詩織さんは羨ましそうにこうも言った、そして少しぼやく感じで秋田の話をした。
「秋田って寒いだけだし」
「そこでそう言うの」
「北海道の方が寒いっていうのね」
「そうじゃない」
「秋田の方が寒い気がするし」
詩織さんにとってはというのだ。
「秋田美人って言葉もあるけれど」
「小野小町さんの出身地でしょ」
「まあね、ただね」
それでもというのだ。
「名物はきりたんぽだし」
「いいじゃない、きりたんぽ美味しいわよ」
「わんこそばには負けるわ」
お隣の県の名物にはというのだ。
「あれ何杯食べてもいいし」
「百杯いったら凄いわよね」
「そういうのもないから」
ぼやく感じで香織さんに話していた。
「いや、本当にね」
「秋田は寂しいっていうの」
「ちょっとね」
ぼやく言葉は続いた、僕と香織さんは詩織さんのその話を聞いていた。お茶のせいもあるけれどもう完全に眠気は消えていた。
第百六十話 完
2017・10・16
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