八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十一話 秋田小町その一
第百六十一話 秋田小町
秋田についてだ、詩織さんは僕達にさらに話した。
「とにかく秋田って寂しいわよ」
「そう言ったら北海道も広い分ね」
香織さんはその詩織さんに微妙な顔で話した。
「確かに函館や札幌は賑やかだけれど」
「そこから東はっていうのね」
「かなり人が少ないわよ」
実際物凄く広い畑や牧場、漁港があってもだ。
「十勝にしてもね」
「そうよね、けれどね」
「秋田はなの」
「牧場もね」
それもというのだ。
「これといってないし」
「北海道みたいな牧場は」
「そう、お肉もミルクもね」
そして乳製品もというのだ。
「名産じゃないし」
「名産っていうと」
「お米でね」
日本人の主食のこれだというのだ。
「それでね」
「きりたんぽっていうの」
「そういうのばかり有名で」
それでというのだ。
「もう冬になると動けないから」
「北海道も雪凄いけれど」
「何か違うのよ」
北海道の雪そして冬とはというのだ。
「またね」
「そんなに違うの」
「そう、雪女とか雪ん子とか雪男とかね」
ここでも妖怪の話が出た。
「そうした妖怪の話もあって」
「雪女ね」
「あとつらら女ね」
「確かつららに変われるんだよね」
つらら女と聞いてだ、僕は詩織さんに尋ねた。
「雪女は雪の化身でね」
「つらら女はつららでね」
冬に家の屋根からお水が凍って出来るものだ、それを折ってちゃんばらにしたりしたことは子供の頃の思い出だ。
「そうした妖怪もいるの」
「何か怖い妖怪だったっけ」
「浮気した男をつららになって刺したとかね」
「そうしたお話もあったね」
「雪女もそうだけれどね」
日本の冬の代名詞のこの妖怪もというのだ。
「人を殺すこともあるのよ」
「怖い妖怪でもあったね」
「そうなの」
実際にという返事だった。
「夏の妖怪ってね」
「秋田だと」
「少ないのよ、あとね」
この妖怪も出した詩織さんだった。
「なまはげね」
「それ有名じゃない」
香織さんはなまはげと聞いてすぐに言ってきた。
「もう秋田のスターっていうか」
「まあね、ただ最近ね」
「そのなまはげもなの」
「やる人が少なくなって」
それでというのだ。
「何とか残さないといけない」
「そうしたお話になってるの」
「そうなの、高齢化とか色々あって」
日本全体で問題になっているけれど秋田はその問題が他の地域よりも深刻になっているということだろうか。
「そちらもね」
「これからどうなるか」
「わからないのよ」
そうした状況だというのだ。
「残念だけれど」
「そうなのね」
「それに怖いし」
こうも言った詩織さんだった。
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