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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百六十話 午後に何をするのかその九

「羆嵐ともいってね」
「何人も犠牲になったんだよね」
「軍隊まで出てね」
 羆退治にだ。
「大変だったのよ」
「凄い話だね、聞いてると」
「冬眠をし損ねた熊だったの」
「熊は冬眠するのが普通だね」 
 僕はこのことは子供の頃読んだ動物図鑑で知った。
「それが冬眠出来なかったら
「つまりずっと寝ていないのよ」
「それで食べものもないし」
 このこともある、するとだ。
「もう半狂乱っていうか」
「完全におかしくもなるの」
「そんな熊だからだったんだ」
「あそこまで暴れたのよ」
 何人もの人が犠牲になって小さかったけれど一つの集落が壊滅状態になって後に離散してしまった位にだ。
「大きくなり過ぎて穴がなくてね
「冬眠出来る穴が」
「そうなったのよ」
「そんなに大きな熊だったんだ」
「元々羆は大きいけれど」
 ツキノワグマよりずっと大型だ。
「その中でもとりわけ大きくて」
「それで冬眠用の穴もなくて」
「物凄く危ない状態で人里に来て」
「大惨事になったんだ」
「それでこのお話は北海道だと有名だから」
 それこそ誰でも知っているレベルでというのだ。
「私も知ってるの」
「そうなんだね」
「まあ羆は実は数が少なくなってるけれど」
「絶滅寸前とか?」
「そこまでいってるかしら」
 香織さんは羆が絶悦寸前かというとこのことについては首を傾げさせてそのうえで僕に話してくれた。
「確かに減っていて保護は言われてるけれど」
「それでもだね」
「実は数が少ないの」
「そうだったんだ」
「だから保護も言われてるの」
 かなり危険な猛獣でもというのだ。
「いなくなったら生態系がおかしくなるし」
「そうそう、熊とか狼もいないとね」
「生態系がおかしくなるっていうわね」
「それ本当らしいから、最近色々獣害が言われてるけれど」
 鹿や狐や狸が畑を荒らすのだ、穴熊や猿も有名だ。
「これ狩っていた狼がいなくなったかららしいから」
「ああ、ニホンオオカミね」
 狼と聞いて詩織さんが言ってきた。
「この前奈良県と和歌山県の境で発見されたけれど」
「ドリトル先生が発見したね」
 うちの大学の医学部の教授さんだ、医学だけでなく生物学や文学や語学等様々な学問で実績があり博士号もかなり持っている人だ。
「絶滅していないってわかったけれど」
「それでもね」
「もう殆どの場所にいないから」
 見付かって即刻天然記念物に指定された位だ。
「だからね」
「獣害も起こってるのよね」
「大型の肉食動物も必要だよ」
 僕はあらためて言った。
「羆もそうだよ」
「そうね、羆もね」
 香織さんがまた僕に応えてくれた。
「いないと困るのよね」
「自然の生態系を考えるとね」
「そうね、あとね」
「あと?」
「北海道にも狼いたのよね」
 狼の話に入った、香織さんも。
「エゾオオカミね」
「ああ、ニホンオオカミとは別にだね」
「いたけれど」
「もういないよね」
「残念ながらね」
「北海道にも狼がいたら」
 今もだ。 
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