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夢幻水滸伝

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第五十九話 仕込みの奇襲その三

「そう棟梁にお話しましょう」
「そうだな、ではな」
「はい、今はこのまま攻めますが」
「今回の失敗を教訓とするか」
「仕掛ける時は」
 まさにとだ、遠藤は宮子の言葉に頷いた。そしてだった。
 三人は自分達が率いる軍勢を関西の軍勢の前にやった、そうしてそのまま軍勢を攻めさせた。だがその彼等に。 
 関西の軍勢はエンフィールド銃の三段撃ちと砲撃、それも地上からだけでなく空からのそれで応えた。その采配を執りつつだ。
 玲子は鋭い目になってだ、兵達に言った。
「いいね、今は銃撃と砲撃だけれどね」
「頃合いを見てですね」
「切り込みますね」
「騎馬隊は」
「そうだよ、あたしが率いてね」
 そうしてというのだ。
「攻めるからね」
「今後の銃撃と砲撃は私が采配を執る」
 室生が兵達に言ってきた。
「このまま攻撃を続けるぞ」
「わかりました」
「それならです」
「ここは銃撃と砲撃を続けましょう」
「このまま」
「そうだ、弓隊も前に出ろ」
 彼等もというのだ。
「そろそろ我々の弓の間合いに敵が来る」
「承知しました」
「それでは」
 その弓隊の兵達が応えてそうしてだった。
 弓隊も攻撃に入る、室生自身も神具を出して攻撃に加わる。
 東国の軍勢では宮沢が神具を出した、だが。
 数が違った。それで宮沢は遠藤に言った。
「正面から戦うとだ」
「数の差が出るな」
「どうしてもだべ」
「数はあちらの方が多い」
 関西の軍勢の方がというのだ。
「それもかなりな」
「しかも装備もいい」
「鉄砲や大砲もそうだが」
「弓矢もだ、連射が効くし射程も長い」
「術も入れてるな」
 弓矢自体にというのだ。
「だからだ」
「エンフィールド銃に負けない威力になってるだ」
「そうだな、ならな」
「余計にだ」 
 宮沢自身も攻撃を放ちつつ言う。
「今回の戦は教訓になるな」
「決戦の時の」
「そうだ、やはり攻めるべきだった」
 今回はというのだ。
「今そう思っている」
「そだな」
 宮沢も攻撃をしつつその通りだと頷いた。
「まさに」
「我々は今回は負ける、しかしな」
「この負けをだ」
「必ず生かす」
 決戦の時にというのだ。
「そうする」
「棟梁にお話してだ」
「勝つ為の仕込みにしましょう」
 宮沢も宮子も応えてだ、そのうえで。
 三人が率いる二万の軍勢は八万の関西の軍勢に正面から果敢に戦った、それを夕方まで続け夕闇が深まるとだった。
 死傷者を回収してそうして退却した。綾乃はその彼等を見て全軍に告げた。
「追撃はせんとこな」
「はい、夕闇が深くなるからですね」
「そやで」
 鈴子のその問いに答えた。
「今回はな、それにここで敵を叩けたからな」
「宇都宮にはですね」
「楽に入られるし」
 宇都宮城を陥落させてというのだ。
「これでよしや」
「それでは」
「明日からまた進軍してな」
「宇都宮に向かいますね」
「そうするで」
 こう言うだけだった、そうして勝ち鬨の後で戦の後始末をしてその後は夕食を摂り休んだ。だがその夕食の時にだ。
 綾乃は軍勢を率いている星の者達と共に鶏肉だけでなく餃子も多く入れた鍋を食べつつこうしたことを言った。 
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