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夢幻水滸伝

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第五十九話 仕込みの奇襲その四

「今回は仕込みやし」
「そうだな、どうしたら我々に奇襲を仕掛けて成功するか」
 室生はその餃子を自分の椀の中に入れつつ応えた。
「その為のだ」
「そうやろね」
「今回は失敗した、ならだ」
「次はどないしたら成功するか」
「それを考えてくる」
 今回の戦からというのだ。
「そうしてだ」
「今度こそやね」
「奇襲を仕掛けて来る筈だ」
「うちを狙ってくるやろね」
「間違いなくな、九人で一度に向かえばだ」
 綾乃一人にとだ、室生は夜なので酒も楽しんでいる綾乃に話した。
「勝てるかも知れないからな」
「寝込みを襲うなりしたら」
「だからだ」
 それでというのだ。
「今日の戦は仕込みだ」
「そやろね」
「だから今は負けた、下野を失う負けだったが」
 それでもというのだ。
「今回の負けは取り返せる」
「そうした戦やね」
「東国にとってはな」
「ほなこっちが下野を占領してやね」
「さらに兵を進める、もうそろそろか」
「敵も仕掛けて来る頃やね」
「そうなるな、今回の仕込みを活かしてな」
 こう綾乃に話した。
「下野を占領してから。何処かでだ」
「来るやろね」
「そうなる」
 間違いなくと言う室生だった。
「ではだ」
「ここはやね」
「あえてこのまま進む、しかしだ」
「狙われるうちは」
「気付かないふりをあえてしてだ」
「油断するふりもして」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「相手を誘い出すことだ」
「そういうことやね」
「ではな」
「うちはたらふく飲んでおくわ」
「そうするといい、あと陣だが」
「本陣はやね」
「出来るだけ攻められやすい布陣にしておくことだ」
 室生はこうも話した。
「夜にな」
「今回は昼に来たさかい」
「昼で失敗した、それも多くの兵でな」
「ほな次は夜に少ない兵で来ますわ」
「そうなりますわ」
「もう自然に」
「人間心理として」
 瑠璃子達四人がここで話した、勿論四人共鍋と酒を楽しんでいる。
「そうきますわ」
「人間失敗したら同じことせんとこって思いますし」
「ほなです」
「そうしてきますね」
「そうだ、相当な馬鹿は同じことを繰り返して同じ敗北を繰り返すが」
 戦においてとだ、室生は述べた。
「しかしだ」
「幸田さんも他の人もアホやないですし」
「うち等と同じ人の星の子等も」
「そやったらですね」
「今度は別の方法で仕掛けてきますね」
「そうだ、だから我々もだ」
 相手がそうしてくるならというのだ。
「底を迎え撃つだけだ」
「簡単な理屈だね」
 玲子は鍋の中のものも酒も豪快に口に入れつつ述べた。 
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