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夢幻水滸伝

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第五十九話 仕込みの奇襲その二

「ほなこっちもな」
「化かしていきますか」
「勝つ為に」
「その仕込みをしておくのが今ですか」
「今の戦ですか」
「そういうことでな」
 それでというのだ。
「やっていこか」
「ほなうち等も」
「もう備えます」
「本陣は任せて下さい」
「姫巫女さんお守りします」
 四人は綾乃にこう応えてだった、彼女の言う通りの備えに入った。それは関西の軍勢全体に及んでいて。
 即座に東国の軍勢が来る方に向けて布陣を整えた、このことは遠藤達も斥候の報告から確認した。それでだった。 
 遠藤は宮沢と宮子に進軍中に話した。
「もう気付かれた様だ」
「もうか」
「気付かれたのですか」
「そうだ」
 その通りと返す遠藤だった。
「それはな、しかしな」
「ここは攻めるだ」
 宮沢は遠藤に鋭い目で応えた。
「そうするだな」
「そのつもりだ、自分は」
「そか、そならおらもだ」
「同じ考えか」
「そだ、おらも攻めるだ」
 まさにという返事だった。
「そしてだ」
「正面から攻めるな」
「そうするだ」
「私もです、ここで攻めるべきだと思います」
 宮子もこう答えた。
「是非」
「ここで退くとな」
「こちらの考えを気付かれるかも知れません」
「頃合いを見て奇襲を仕掛けることをな」
「はい、そこで勝敗を決しようと考えていることを」
 東国のその考えをというのだ。
「気付かれかねません」
「ここであっさり退くとな」
「今攻めないで今度攻めるのかと」
「だからだな」
「ですから」
 それでというのだ。
「我々は今はです」
「攻めるべきだな」
「はい」 
 まさにという返事だった。
「ここは」
「そうだな、しかし今回は昼に動いて気付かれた」
「やはり昼は気付かれますね」
「巧妙に隠れているつもりでもな」
「関西は空船がかなり多いです」
 空を飛ぶこの船がというのだ。
「空からはよく見えます」
「周り、地上がな」
「はい、それも広く」
「しかも向こうは兵の数が多い分空を飛べる者も多い」
「翼人に天狗、鳥人に天使にと」
「術で飛べる者もいる」
「だからです」
 まさにと言う宮子だった。
「こちらも気付かれてしまいます」
「昼に動くとな」
「しかも今の我々の軍勢は多い様です」
 奇襲を仕掛けるにはとだ、宮子はその顔を深刻なものにさせて述べた。
「奇襲を仕掛けるには」
「二万ではな」
「はい、ですから」
「本格的に仕掛ける時はな」
「より少なく、そして」
「夜にだな」
「仕掛けるべきかと」
 こう言うのだった。 
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