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オズのガラスの猫

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第四幕その九

「あたしのガラスの像は動かないわよ」
「動くのは貴女だけね」
「そうよ、あくまでね」
 そこはというのです。
「あたしだけよ、あたしは魔法の粉をかけられて動く様になったから」
「あたしと一緒にだったわね」
 つぎはぎ娘も言ってきます。
「思えばその時からの付き合いね」
「そうなのよね、あたし達はね」
「長い付き合いよね」
「意識を持った時からだからね」
「そう思うと」
 さらに言うつぎはぎ娘でした。
「あたし達は友達同士ね」
「そうね、第一のね」
「まさにね」
「何かガラスの猫が友達とか言うなんて」 
 ちょっと意外に思うナターシャでした。
「最初の頃と違うわね」
「意識を持ってすぐの頃ね」
「あの時の貴女はね」
「お友達とかはね」
「意識してなかったわよね」
「ええ、もうね」
 それこそというのです。
「そうしたことはね」
「考えないでね」
「あたしはあたしでね」
「そうした風だったわね」
「猫だしね」
 それにというのです。
「だからよ」
「そうよね、猫はね」
「お友達とかじゃなくてね」
「まず自分よね」
「自分がどうかじゃない」
「そのことは変わってないけれど」
「お友達を意識する様になったわ」 
 このことはというのです。
「そうなったわ」
「そうなのね」
「そう、つぎはぎ娘だけじゃなくて」
 お友達と思うのはというのです。
「オズマもチクタクも他の皆もね」
「かかしさんや樵さん達もなの」
「勿論よ」 
 ガラスの猫はナターシャに胸を張って答えました。
「皆私の友達よ、あんた達もよ」
「五人共なの」
「そうよ、あんた達五人共ね」
 それこそというのです。
「あたしの友達よ」
「そうなのね」
「ええ、だから今回も一緒に冒険してるのよ」
「そういうことね」
「そしてお友達としてあたしがいるから」
 それこそとです、こんなことも言ったガラスの猫でした。
「今回の冒険は大船に乗ったつもりでいなさい」
「ガラスの船かしら」
「そうよ」
 笑って応えたガラスの猫でした。
「あたしの身体はガラスだからね」
「乗る大船もなの」
「ガラスの船よ」
 そうなるというのです。
「奇麗でしょ」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「何か割れそうな感じがするわね」
 ガラスの船ならと言ったナターシャでした。
「そこは」
「それはあんた達の世界ならでしょ?」
「オズの国ならなのね」
「そうそう割れないわよ、特にあたしはね」
「貴女は絶対に割れないガラスね」
「その身体だからよ、しかも磨けば磨く程輝く」
 そうした身体だからだというのです。 
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