夢幻水滸伝
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第五十七話 仕掛ける場所その八
「しかしだ」
「それまでに油断してると」
「仕掛けられる、そしてだ」
「東北に攻め上がる時も」
「油断した時こそだ」
兵達がというのだ。
「敵は来ると思っていい」
「まさにその時に」
「だからだ、我々としてはだ」
「兵の士気を常に高い状態にしておき」
「油断や驕りも許さないことだ、しかし」
「それでもですね」
「それでもどうしても緩んでしまう」
兵の士気や警戒心がというのだ。
「その時が一番怖い」
「慢心やそういった類が」
「最もな」
「猛獣こそだからね」
玲子は戦を楽しむ笑みで室生の言葉に突っ込みを入れた。
「油断しないからね」
「貴殿にしてもな」
「ああ、戦にしても喧嘩にしてもね」
「全力に向かってこそだからな」
「いいんだよ、相手を馬鹿にするとかな」
「貴殿はしないな」
「そんな奴はそのうち蛸殴りにされて負けるさ」
そうしたことになるというのだ。
「実際そんな奴はよく見てきたさ」
「だから余計にだな」
「俺達は喧嘩はしないさ」
絶対にというのだ。
「あたしは、しかしだね」
「兵達はどうか」
「やっぱり勝ち進むと油断しかねないね」
「それが一番怖い、そして仕掛けられるなら」
室生は自分達に重点を置いて言った。
「何処になるかだ」
「それも問題やな」
「実際にな」
「何時何処で相手に仕掛けられるか」
「それも問題やで」
瑠璃子達四人もここで言った。
「今うち等は順調に攻めてるけれど」
「それが何時かやで」
「何時攻めてくるか」
「それが問題や」
「そやね、ほんまに」
こう話す、そしてだった。
ここでだ、綾乃はまた言った。今度は室生に応えるのではなく自分から口を開いた。
「相手は必要なら何時でも攻められるし」
「それが問題です」
「あっ、敬語必要ないさかい」
綾乃は室生にこのことを断った。
「同学年やから、起きたら」
「いいのですか」
「室生君別に同級生には敬語使わへんやろ」
「だからですか」
「そやで、何か急に敬語使われて変に思うから」
それでというのだ。
「ええわ」
「そうですか」
「そや、別にな」
こう言うのだった。
「ええから」
「わかった、ではな」
「そうしてな」
「うむ、しかしだ」
「しかし?」
「一つ思うことだが」
ここでまた話した室生だった。
「東国の棟梁である幸田は派手な男だ」
「そうそう、あの人派手好きなんです」
「もうめっちゃ凄いですよ」
「遊びも豪快で」
「着てるもんだけやなくて」
瑠璃子達四人は室生に応え幸田のその性格について話した。
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