夢幻水滸伝
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第五十七話 仕掛ける場所その六
「暫く生き返らせないわ」
「処罰として」
「そうよ、二十年はね」
「放置でござるか」
「そうよ、そうするわ」
この世界ではこうした刑罰もある、重罪人は処刑した後その罪の重さに応じて生き返らせない歳月を設けるという刑罰がだ。
「あたいもね」
「許せないだけに」
「事前に言ってそんなことをしたら」
「取り返しがつかない」
「だからよ、そこまでするわ」
「ううむ、確かに」
「それはあんたも同じでしょ」
「勝手なことをする馬鹿を許せば」
それこそとだ、有島も述べた。
「何かと締まりがつかないです」
「それでよ、しかもそんなことをする奴はね」
「反省もしない」
「怒っても言い訳ばかりしてね」
そうしてというのだ。
「反省しないわ、素行を注意してかえって殴りかかってくる馬鹿もいるけれど」
「そうした馬鹿以上に」
「そんな奴は有害だから」
「処刑して、ですか」
「二十年は放置よ、後は一切責任がかかる仕事はさせないわ」
「責任がかかる仕事をさせると」
「絶対に碌でもないことをするから」
そのことがわかりきっているからだというのだ。
「そんな仕事はさせないわ」
「それが正しいやり方ですか」
「あたいが思うね、そしてあんたはね」
「そこまでの馬鹿ではない」
「むしろ賢い方よ」
有島、彼はというのだ。
「本当にね」
「だといいですがね」
「あたいが保障するわ、まあもっともね」
「もっとも?」
「あたいが嫌いなのはテレビや新聞で好き勝手嘘言ってね」
そしてというのだ。
「一切責任を取らない」
「そんな奴がですか」
「一番嫌いよ、だからテレビはね」
「あまり見ないですか」
「テレビはアニメや特撮だけ見てるわ」
そうしているとだ、武者小路は有島に話した。
「起きている時はね」
「そうですか」
「ええ、テレビを観ると馬鹿になるっていうけれど」
「そんな奴の言うことを鵜呑みにするから」
「馬鹿になるのよ」
こう有島に話した、それもその灰色の狼の顔に嫌悪を込めて。
「そうなるから」
「アニメや特撮だけですか」
「そうした番組を見ていれば」
それでというのだ。
「馬鹿にはならないのよ」
「そうですか」
「そう思うわ、まあとにかくあたいはあんたは馬鹿と思わないから」
「だからですか」
「あんたを信じもするわ、誠実な性格だしね」
「約束を破ったり嘘は苦手です」
「そうした性格でもあるしね」
有島のその気質のことも話した。
「だからよ」
「ううむ、信じてくれますか」
「そうさせてもらうわ、じゃあね」
「はい、相模での戦は」
「このまま続けて」
そうしてというのだ。
「都合のいい時にね」
「相模を後にしますか」
「後は上総、下総と転戦していって」
「時が来れば」
「仕掛けに参加するわよ」
まさにとだ、武者小路はその目を輝かせて有島に話した。
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