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夢幻水滸伝

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第五十七話 仕掛ける場所その一

               第五十七話  仕掛ける場所
 綾乃が率いる軍勢は厩橋城の修繕を終えるとそこに物資を入れて下野に向かう用意に入った、芥川の軍勢は東国の主力と対峙を続け中里の軍勢はというと。
 箱根を抑えた後で伊豆に兵を向けると共に主力は相模制圧に入った、中里は鵺に乗って兵を進めつつ言った。
「ほな最初は横須賀やな」
「そちらにですね」
「正岡と織田を行かせる」
 軍師役である美鈴に話した。
「そして鎌倉は純奈ちゃんと雪路ちゃんでな」
「あの娘達を行かせますか」
「ああ、それで占領してもらう。そしてな」
 中里は自分の隣に北原と共にいる美鈴にさらに話した、美鈴は馬に乗っていてその傍らには八房が控えている。
「横浜は僕が行く」
「ご自身がですか」
「そや、伊豆は吉川が水軍からや」
「陸戦隊を出してくれましたね」
「又吉が率いてるな」
 その彼等をというのだ。
「それで制圧してくれてる、八丈島とかはとりあえずな」
「後でいいですね」
「今あそこはそんなに急がんでいい」
 あの島はというのだ。
「今はや」
「他の場所を優先させることですね」
「そや、あと小田原は井伏と山本を向かわせてな」
 この街の話もした。
「そしてや」
「横浜を制圧してですね」
「川崎も抑える、後は川崎に多少の兵を置いて武蔵への牽制としてな」
 そこにいる東国の主力の軍勢のだ。
「ここの主力は星の連中と共に横須賀に集結して」
「水軍の力で海を渡って」
「上総、下総や」
 この二国だというのだ。
「あの二国を取っていくで」
「予定通りにですね」
「そや、あと東国の軍勢はどうなった」
 箱根で破った彼等のこともだ、中里は美鈴に尋ねた。
「それで」
「はい、先程まで八房を飛ばして斥候をさせていましたが」
「今は横浜にいますよ」
 その八房が中里に話した。
「武者小路さんと有島さんも」
「あの二人もか」
「はい」
 そうだというのだ。
「あの街を守るつもりの様です、そして伏兵を」
「配してるか」
「はい」
 そうだというのだ。
「それも相模のあちこちに」
「そうして戦うつもりやな」
「はい、それぞれの配置は見てきましたので」
「それ地図に書いてくれるか」
「すぐに」
 八房は筆と硯、それに墨を出した。犬の前足を人間の手の様に器用に使ってそうすると北原が相模と伊豆の地図を出した。
「これもでごわすな」
「あっ、すいません」
「礼はいいでごわす」
 巨体に似合わず気配りの細かい北原だった、かくしてだった。
 八房は自分が見てきた伏兵達がいる場所をその数まで入れて書き込んだ、そうして中里にその書き込んだ地図を渡して言った。
「こうなっています」
「そうか、ほな見るで」
「そうして下さい」
 こうしてだ、中里はその地図を見た。細かいところから見てそうしてこう言った。
「成程な、何かな」
「はい、これはですね」 
 美鈴も中里から地図を手渡させて見て言った。 
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