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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十八話 夏の終わりその二

「義和もそうしたらいいわ」
「僕はルームランナーよりもね」
「他のをするの」
「自転車だね」
「それで汗かくの」
「そうするよ」
 何かそっちを使う気になれなくてだ、元々ルームランナーを使うこともしていない。走るなら外で走りたいからだ。とはいってもバスケ部は体育館の中での部活が多いのでその中で走ることも多かったりする。
「これからね」
「じゃあジャージに着替えて」
「ちょっと今の服じゃね」
 部屋義だとだ、僕も笑って香織さんに応えた。
「駄目よね」
「うん、やっぱり運動するならジャージよ」
「あれが一番だね」
「それか体操服よ」
 学校のそれだというのだ。
「半ズボンかスパッツも」
「ああ、体操服ね」
「あれもあるけれど」
「学校じゃないからね」
「学校でないとね」
 どうしてもとだ、香織さんは僕に笑ってこうも言った。
「あれは着られないわ」
「制服と同じだよね、それは」
「そう、制服も学校でしょ」
「その生き帰りかね」
「そうした時に着る服で」
「体操服もね」
 そしてこの服もだ。
「やっぱりね」
「学校で着るものだね」
「だからね」
「ここじゃ着ないね」
「皆着てないでしょ」
「うん、家で着るものじゃないよ」 
 体操服はだ、制服なら着て登校してその格好で帰るけれどだ。
「あれは」
「だからね」
「ジャージだね」
「そっちよ、まあ体操服ならまだましだけれど」
「何かあったの?」
「いえ、半ズボンやスパッツはまだいいの」
 こうした服はというのだ。
「ただね」
「ただ?」
「ブルマは駄目よ」
 香織さんは眉を顰めさせてこちらは否定した。
「もう何処にもないけれど」
「ああ、あれね」
「あんなの穿けって言われたら」
「穿かないよね」
「絶対によ」 
 強い声での否定だった。
「あれ下着じゃない」
「皆そう言うんだね」
「何で最初から半ズボンでないのか」 
 首を傾げさえした。
「不思議でならないわ」
「まあそれはね」
「最初は提灯みたいなのだったのよね」
「多分あれはね」 
 僕はここであるものを思い出した、その思い出したものははっきり言って体育の授業とは全く関係のないものだった。
「欧州の、中世辺りのね」
「中世の?」
「うん、王子様とかが穿いてた」
「あのタイツの上に穿いてた」
「あれだよ」
「カボチャみたいなあれね」
「あれもブルマだから」
 何でタイツにブルマになったのか不思議だ、ズボンがあった筈なのに寒い欧州で身体にびったりとしたタイツは余計に寒かっただろうに。
「あれからね」
「体育の授業でなの」
「大きなブルマがアメリカの女子校生の体操服になったらしくて」
「それが日本に入って」
「ああなったみたいだから」
「そうなの」
「何故か下着みたいなデザインにね」
「それなら大きくてよかったのよ」
 香織さんは女の子の立場から僕に言った。 
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