獣篇Ⅲ
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36 ヘッドハンティングには報酬が付きもの。
では高杉殿、と阿保?提督が口を開く。
_「今回、高杉殿と零杏殿の働きで、我々はとても助かった。ここで1つ、こちら側からお願いがある。…久坂殿と高杉殿率いる鬼兵隊を、我らが春雨に引き入れたいのだが、いかがか?」
_「考えさせてくれや。」
_「…そうですか。久坂殿は?」
ひとつ間を開け返答する。
_「いえ、ご遠慮致します。」
_「なぜだ?待遇ならいくらでも上げる…」
_「例えば?」
言葉に詰まったようだ。だが、すぐに妙案を思い付いたらしい。
_「…ちょうど今回、またそなたらに依頼しようと思っていたところでなァ。…そうだなァ、第七師団団長の座を差し上げよう。」
_「どういう意味にございますか?」
_「つまりだな…」
晋助がすかさず突っ込む。
_「今の第七師団団長を殺す、とでも言うのかァ?」
_「そ、そうだ。もしその…検討してくれるのであれば、その座を差し上げようと思うておる。」
_「…そうですか。折角なのですが、辞退させていただきますわ。私はまだ、フリーでいたいものですから。鶏頭牛後はよろしくないですもの。」
_「そ、そうか。」
_「オレも、だ。だが、神威の件は、受けてもいいぜェ?持ちつ持たれつつ、でいいじゃねェか。」
乾いた笑みを浮かべながら、提督は続けた。
_「そうだな、ちと事を急ぎすぎたようだ。では最後に、神威を捕らえるように手伝ってはくれまいか?」
_「ええ。それならお手伝いさせていただきますわ。」
と、ニッコリ微笑んだ。
晋助と一緒に部屋を去る準備をする。
_「もう行くのか?」
_「あァ。ちょうど神威と会う約束をしていたしなァ。」
_「では、これを持っておけ。どうせ必要となるだろうて。」
_「ええ、了解致しました。ありがとうございます。では、よい1日をお過ごし下さいませ。」
ドアを出てから、神威に連絡を取る。
待ち合わせ場所で会うと、神威は晋助にこう告げた。
_「や、また会ったね。単刀直入で悪いんだケド、どのタイミングで言ってもきっと驚くから、言うよ?死んでもらうよ?」
_「別に驚きゃしねェよ。最初に会った時からァ、面にそう書いてあったぜ。」
どうせ、嫉妬だろ?wwww
_「さすがに察しがいいや。実は以前、侍ってヤツをこの目にしてから、こうして殺りあいたくてウズウズしてたんダ。なんでだろ。微かだけどアンタからは、あの侍と同じ匂いがしたのサ。」
銀時のことだろ?どうせ。
_「奇遇だなァ。オレなその銀髪のバカ侍を殺したくてウズウズしてんだァ。」
_「ふぅん…察しがいい、と言うより、超能力でも使えるみたいだネ。その左目に秘密でもあるのカナ?」
下らない、と思って懐から煙管を取り出したところで、さっきの提督と、狼男が現れた。
_「神威、…」
_「邪魔はするな、と言ったはずだよネ?」
_「フ)邪魔なんざしねェよ。」
はい、神威は包囲されました。
毒矢が刺さっているのにも関わらず、相変わらず元気だ。
_「アリ?」
_「神威。オレたちが殺りに来たのは、テメェだ。」
_「貴様ら夜兎の血は、危険過ぎる。切れすぎる刃は嫌われるのだ。神威よ。」
_「コイツァ、驚いたネ。アホ提督に一本取られるたァ。」
_「バカはテメェの代わりに殺っといてやらァ。だから安心して、死んでいきなァ。」
晋助が刀を振り上げ、辺りに血が飛び散った。それで一時動けなくなった神威の腕が後ろで縛られる。
その結果に満足したらしい提督は、あとで部屋に来るように、とだけ言うと、皆を引き連れその場を去った。
だが、はっきり言おう。神威はこんなことで死ぬ訳がない。
皆が立ち去ったのを確認してから、倒れている神威の耳元で囁く。
_「詳しい話は、あとでするわ。だから今は大人しく、気絶した振りをして。」
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