八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十七話 お袋のことその十五
「そのことも楽しめます」
「シェークスピアは喜劇もありますしね」
「結構多いですね」
「そうなんですよね」
このウィンザーの陽気な女房達にしてもさっき話に出た真夏の夜の夢も尺には尺をもじゃじゃ馬ならしもだ。
「悲劇以外に」
「悲劇と喜劇は別人が書いたという説もありますが」
一応生い立ちは記録として残っているけれど謎の人物でもあるのがシェークスピアだ。哲学者のベーコンが正体という説もあるらしい。
「ですが同一人物としますと」
「両方書けたって凄いですね」
「全くです」
「それで喜劇の方もですね」
「素晴らしいので」
「そちらも読まれてるんですね」
「はい」92
その通りだというのだ。
「左様です」
「シェークスピアは全部ですか」
「全作品読破しています」
「そうしてですね」
「再び読むこともです」
それもというのだ。
「しています」
「悲劇も喜劇も」
「そうです、喜劇で一番好きなのは」
その作品はというと。
「そのウィンザーの陽気な女房達です」
「その作品ですか」
「はい、そうです」
「ファルスタッフのあの性格がですね」
「好きです」
実際にというのだ。
「ですから何度か読んでいまして」
「歌劇の方もですか」
「観ています」
そうしているというのだ。
「今も」
「そういえば元々劇ですしね」
「はい、シェークスピアは」
「読むだけじゃないんですね」
「観る為のものでもあります」
「だからですね」
「御覧になられてもです」
いいというのだ。
「ですから義和様も」
「はい、観てみます」
畑中さんに約束した、そうしてだった。
畑中さんはそのコリオレイナスを借りて書斎を出て僕も少し本を読んでから自分の部屋に戻って寝た。夏休みは明日で終わりだと思いながら。
第百五十七話 完
2017・9・24
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