夢幻水滸伝
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第五十五話 武蔵と箱根でその五
「どんどんな」
「周りの敵は容赦なく殲滅して」
「そのうえで」
「もう無茶苦茶ですわ」
「どっちもあれはないです」
「そや、巨人も他のモンスターも賊もや」
何もかもがなのだ、自分達の前に塞がる敵達は。
「消し飛ばしてく、それも見たらわかるやろ」
「はい、三極はですね」
「そして姫巫女様も」
「僕等そういうのは見てなかったですけど」
「その時まだ関西に入ってませんでしたし」
「自分等と会ったのはそれからやったしな」
芥川は今度は彼等との出会いの時を思い出していた、このこともまたこの世界での彼の記憶の一幕であるのだ。
「その時は見てなかったんやな」
「はい、その時はですね」
「師匠と姫巫女さんとですね」
「太宰さんだけやったんですね」
「そっから自分等に会ってや」
芥川は関西の勢力の黎明期のことを思い出していた、それは中里がこちらの世界に来る前のことである。
「志摩で吉川に会って都で夏目に会うてふらりと玲子ちゃんが来て堺で中原を迎えて弥生ちゃんも入れてな」
「そうしてでしたね」
「そっから中里さんでしたね」
「思えば懐かしいわ、それでや」
「その時にですか」
「三人だけやった時に」
「そや、都に百人の巨人が攻めてきたんや」
この世界を騒がせている彼等がというのだ。
「それでどないしよかって思ってたらな」
「姫巫女さんご自身が出陣されて」
「そうしてですか」
「その巨人を一瞬で倒した」
「百人全員ですか」
「残ったんはとんでもない量の金塊やった」
巨人を倒した時にはかなりの量の金塊が残る、一人でそれこそ十万の人間がいる街を一年養える位だ。
「百人の巨人やしな」
「うわ、それはまた」
「凄いですな」
「ほな最初の頃はその金がですか」
「えらい資金にもなりましたか」
「そうもなったわ、ほんま僕がこっちの世界に来てすぐやった」
綾乃が一瞬で百人の巨人達を倒したことはというのだ。
「凄かったわ」
「それで、ですか」
「その姫巫女さんを倒そうと思ったらですか」
「星の人が九人でかかってもですか」
「あきませんか」
「そや、それこそ大蛇と術、三種の神器の万全の護りもあってや」
この三つが揃っているが為にというのだ。
「綾乃ちゃんはそう簡単には倒せんで」
「そうですか」
「そう簡単にはですか」
「そや、ただ綾乃ちゃんは武器は使えん」
それは出来ないというのだ。
「刀も弓矢も何もな」
「そうですね、草薙剣は護りの神具ですし」
「振るうもんやないです」
「そう考えるとですね」
「姫巫女さんは格闘戦はあきませんね」
「懐に飛び込まれたら弱い」
それが綾乃の弱点だというのだ。
「そうしたら連中にも勝ち目はあるけどな」
「その懐にどう飛び込むか」
「それが、ですか」
「難しいんや、しかも綾乃ちゃん一人やないんや」
彼女が率いている越後の軍勢はというのだ。
「六万の軍勢がおって星のモンもな」
「姫巫女様を含めて八人です」
雅がすぐに言ってきた。
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