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夢幻水滸伝

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第五十五話 武蔵と箱根でその四

「そやからな」
「奇襲を受けても」
「それでもですか」
「大丈夫や、若し危ないなら」 
 綾乃達が奇襲を受けて危機に陥ったその時のこともだ、芥川は話した。
「僕が行くわ、その間の采配は坂口にやってもらうわ」
「わしだがや」
「そや、自分に軍を任せる」
 今この場にいる星の者の中で一番位が高くしかも大将としての風格も備えている彼にというのである。
「そうしてすぐにや」
「自分だけでだがや」
「綾乃ちゃん達の助っ人に行くわ」
「そうするだがや」
「そや、そうしてや」
 そのうえでというのだ。
「危機を救う、もっともな」
「姫巫女さんならか」
「大丈夫や」
 あらためて綾乃への信頼を述べたのだった。
「あの娘を倒そうと思ったら神星が二人は必要や」
「二人もですか」
「他の星のモンやったら十人や」
「そこまでなのですか」
「伊達に三極やないで、三極はそこまで強いんや」
 星の者達の中でも図抜けた能力がある神星の者達の中でもだ、綾乃を含めた三人はそこまでの力があるというのだ。
「神星のモンでもな」
「二人ですか」
「そや、それだけ必要や」
「そこまでお強いとは」
 雅も驚きを隠せずに芥川の言葉に応えた。
「恐ろしいですね」
「そやからや、まず大丈夫や」
「そうなのですね」
「そこで万が一の時は僕が行く」
 そうすることもするからだというのだ。
「負けることはないわ」
「星の者の強さも頭に入れて戦略を考える、ですね」
「この世界での常識やな」
「はい、しかし神星とりわけ三極の肩のお強さがそれまでとは」
「僕も最初見て驚いた、綾乃ちゃんの戦を見てな」
 その時のこともだ、芥川は話した。
「百人おった巨人が一瞬でや」
「倒されたのですか」
「大蛇と術でな」
 その二つでというのだ。
「ほんまに一瞬でや、消し飛ばされた」
「そうなったのですね」
「それを見たから言うんや、百人の巨人がや」
 一人一人でも街や村を徹底的に破壊する力を持つ彼等をというのだ。
「一瞬やったからな」
「それはまた恐ろしいですね」
「僕でも百人の巨人を一瞬では無理や」
 そこまで簡単に倒せないというのだ。
「幾ら神具や術を使ってもな」
「それはそうですね、私なぞはとても」
 雅も戦える、だがそれでもだ。自身が巨人と戦った時のことを思い出しつつそのうえで芥川に述べた。
「百人どころか十人がようやくです」
「それ普通ですよ」
「というかかなり強いです」
 佐藤兄妹は雅のその話に到底と述べた。
「先輩も相当ですね」
「正直今は味方で何よりです」
「僕もそう思う、しかしな」
 ここでまた言う芥川だった。
「綾乃ちゃんはほんまにやったからな」
「百人の巨人を一瞬で」
「そうして葬りましたか」
「そや、それだけ三極は強いんや」
 この星の者達はとだ、芥川はさらに話した。
「そやからロシアやインドを見るんだ」
「同じく三極の女帝と雷帝ですね」
「あのお二人ですね」
「もう無茶苦茶な勢いで勢力伸ばしてるやろ」
 佐藤兄妹にこのことを話した。 
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