八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十六話 教会の中その十二
「結婚してね」
「教会をですか」
「その人と盛り立てていっててね」
「それならもう」
「いるでないでござるか?」
友奈さんとマルヤムさんはある意味最高のタイミングで言ってきた、僕は話を聞いていてここで言うのかと内心びっくりした。
「もう傍に」
「そうなんじゃ」
「えっ、いないわよ」
ここで本気でこう言うのが千里さんで実際にこう言った。
「そんな人は」
「そうでしょうか」
「拙者達はどうかと思うでござるが」
「もっと周りをよく見れば」
「気付くでござるよ」
「そんなことないわよ」
千里さんは笑って言った、もう完全に気付いていないのがわかる。
「そうした人は」
「何かこの人」
「そうでござるな」
二人でまた話をした、鉄壁の様に気付かない千里さんを見て。
「こうしたことには本当に」
「全くよね」
「何が全くかわからないけれど」
僕は完全にわかっていたけれど黙っていた、言うとそれでどうにも話が変な方に行くと思ってそうした。
「とにかく私は交際してる人いないし多分私を好きな人も」
「いないんですね」
「そう思われているでござるな」
「いないわよ」
あっけらかんとした純粋な笑顔がここでは余計に駄目だと思わせた、僕は横から見ていて心から思った。
「そうそう」
「まあそう思われているなら」
「今は仕方ないでござる」
「けれどね」
「今は、でござるからな」
「そうなのね」
「あの、それで」
千里さんにこの話はどうも進まないと見てだ、僕は話を変える為に動いた。
「親父なんですが」
「止さんがどうかしたの?」
「前から思ってたんですが」
こう前置きして千里さんに話した。
「お袋急にいなくなって」
「そうだったわね、私も聞いたことあるけれど」
「その時何があったか適当にしか話さないんですが」
「そうなの」
「一体何があったんでしょうか」
ふとこのことを聞いた、何か急に気になって。
「知ってますか?千里さんは」
「止さんは何て言ってるの?」
「いや、俺が浮気をしてとか」
「そう言っておられるの」
「そうなんです、それで」
本当にこうしたことしか言わなくてだ。
「詳しいことはわからないんです」
「そうなの」
「一族の人に聞いても特に教えてくれなくて」
総帥さんもだ、何か当たり障りのないことしか教えてくれない。色々あったとかそうしたことばかり言うだけだ。
「どの人も」
「それでなのね」
「僕も真実はよくわからないんです」
「ううん、私もそうなの」
「詳しいことはですか」
「聞いてないの」
会長さんであるお父さんからというのだ。
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