八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十六話 教会の中その六
「特にあちらの人で」
「そうなんですか」
「その形がキリスト教に似てるってね」
「そうなりますよね」
「私も言われてみると」
「似てるとですか」
「思えなくもないから」
天理教の教会の人でもというのだ。
「何処かね。ただ天理教は最初から他の宗教は否定していないから」
「そうなんですね」
「神道も仏教もね」
「キリスト教もですか」
「どの宗教とも交流あるし」
対立しているどころかというのだ。
「だからね」
「他の宗教もですね」
「否定どころか」
「認めていてですか」
「仲良くしているの」
「それはいいことですね」
「ええ、だから私達もね」
千里さんご自身にしてもというのだ。
「家族ぐるみで神社やお寺の人達ともお付き合いしてるの」
「そちらの家族の人達ともですね」
「そうしてるの」
実際にというのだ。
「キリスト教の人達ともね」
「本当に仲がいいんですね」
「お父さんは特にね」
この教会の今の会長さんだ。
「そうしてるの」
「ううん、何か」
「何か?」
「そこも日本ですね」
「他の宗教と争ってないから」
「そう思いました」
友奈さんはこう千里さんに話した。
「実際に」
「そうなのね」
「はい、それと」
「それと?」
「教祖様が女の人っていうのは」
友奈さんはこのことについても思って千里さんに話した。
「本当に独特ですね」
「そのことね」
「よく男の人が、ですけれど」
「ううん、このことはね」
千里さんは友奈さんの言葉に少し考えるお顔になってそのうえで友奈さんに返した。何か随分考えることがあったらしい。
「運命っていうか」
「運命ですか」
「そう、神様の社になられるね」
「そのことが決まってたんですか」
「そう言われているの」
天理教の中ではというのだ。
「教祖様、おやさまが女性であられるのも」
「神様が決められていたんですか」
「それで教祖になられることもね」
「全部運命としてですか」
「神様が定められていて」
それでというのだ。
「教祖になられたの」
「中山みきさんという人がですか」
「奈良の庄屋さんの奥さんがね」
「お百姓さんだったんですね」
「そうなの、それで江戸時代の終わり、天保の頃にはじまったの」
その頃は天理教では立教だけれど教科書では飢饉があったり改革があったり何かと大変な頃という感じだ。
「天保九年十月二十六日ね」
「その日にですね」
「天理教がはじまったの」
「そうした日でしたか」
「ええ、とにかく教祖様はね」
天理教ではというのだ。
「女の人となってるの、それで教会では奥さんの存在が大きいの」
「お寺や神社よりもですか?」
「そうかも知れないわ」
このことは僕が見てもだ、天理教の教会ではとにかく女の人の存在が強い。婦人会なんかはもう天理教を動かしていると言っていい位だ。
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