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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十六話 教会の中その五

「違うわ」
「そうでござるか」
「ええ、どうにも」
 そうだというのだ。
「そう思ったわ」
「イスラムには畳がないからでござろうか」
「これは日本独自だからね」
「左様、畳返しという術があるでござるが」
 ここで忍術の話になった、もっともこの術を実際に出来る人がいるのかどうか僕は知らない。忍者漫画とか時代劇だけの話じゃなかろうか。
「あれはまさに日本だからでござる」
「ある術ね」
「そうでござる」
 まさにというのだ。
「イスラムではないでござるからな」
「マレーシアじゃなかったの」
「道場にはあったでござるが」
 それでもというのだ。
「やはりでござる」
「ないわね」
「そうでござるよ」
 こう友奈さんに話した。
「まことに」
「だから落ち着くよりも」
「忍者屋敷、そして道場をでござる」
「思い出したのね」
「緊張するでござる」
 落ち着くよりもというのだ。
「そうでござる」
「畳だと」
「この辺りは文化の違いでござるな」
「そうだね、畳はね」
 僕はマルヤムさんの言葉を受けてこう言った。
「僕達にとってはね」
「安らぐ場所でござるな」
「その上で日常を過ごすからね」
 食事も寝起きもだ、全部畳の上でする。まさに生活の場だからだ。
「だからね」
「そうでござるな、しかしでござる」
「マレーシアだと畳がないから」
「緊張するでござるよ」
「そうだよね、けれど天理教はね」
「日本の宗教でござるから」
「教会の神殿はね」
 これは布教所でも同じだ、天理市にある天理教の神殿本部だともう一体どれだけの畳があるかわからない位だ。
「畳なんだ」
「そのことわかったでござる」
「そういうことでね」
「あと祭壇は三つでござるな」
 マルヤムさんは今度はそちらを見た。
「横に並んでいるでござるな」
「うん、真ん中は神様でね」
 祖神様、天理王命が祀られているのだ。
「それで右手は教祖様でね」
「中山みきさんでござるな」
「その人が祀られていて」
 僕はマルヤムさんにさらに話した。
「左手はね」
「確か祖霊てござるか」
「うん、みたま様が祀られているんだ」
「そうでござるか」
「天理教ではこのお三方が祀られているんだ」
 神様と教祖様、そしてご先祖様がだ。
「だからああしてね」
「祭壇も三つあるでござるな」
「そうなっているんだ」
「そのこともわかったでござる」
「何か」
 友奈さんも祭壇を見つつ僕に言ってきた。
「キリスト教みたいに」
「神様とキリストと精霊だね」
「そんな感じね」
「そう言う人実際にいるわよ」 
 千里さんは友奈さんのその言葉にすぐに応えた。 
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