八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十六話 教会の中その四
「漫画はでござる」
「いいわね」
「漫画もアニメもでござる」
アニメの方もというのだ。
「大好きでござる」
「アニメはないけれど」
千里さんはマルヤムさんに明るい笑顔で話した。
「漫画もあるし新聞とかもあるし」
「天理教の新聞でござるか」
「天理時報っていうの、あと奥華の会報というか月刊で出しているパンフレットとかもあったりするし」
僕も毎月読んでいる、こうして毎月出している大教会もある。
「他にも色々な本や雑誌もあるし」
「天理教も頑張っているでござるな」
「そうしたところもね。じゃあ今から」
「お邪魔させてもらうでござる」
「こっちよ」
千里さんは手で教会を指し示して言ってきた、そして僕達を教会の中に案内してくれた。教会は畳敷でかなり広くて奥に神様、教祖様、そして祖霊様達を祀ったそれぞれの場所がある。千里さんは友奈さんとマルヤムさんにそれぞれの祀った場所のお話をした。
そのお話の後でだ、友奈さんはお部屋の中を見回して千里さんにこんなことを言った。
「あの、何か」
「どうしたの?」
千里さんはとても高くで奇麗な声で応えた、アニメ声というけれどこの声で言われるとついつい聞いてしまう。何でも歌声が特にいいらしい。
「一体」
「ここ畳ですよね」
「ええ、そうね」
「じゃあここは座ってですね」
「そう、席を置く場合もあるけれど」
「ここに座ってですね」
「参拝をするの」
こう友奈さんに話した、教会の神殿の中には日本の楽器太鼓や笛や拍子木といったものも用意されている。
「そうするのよ」
「そうなんですね」
「毎朝ここでお祈りもさせてもらってるし夕方もね」
「夕方もですか」
「お祈りしてるの」
「そうですか」
「忙しい時は出来ない時もあるけれど」
それでもというのだ。
「毎朝、毎夕ね」
「宗教らしいですね」
「おみちもね」
「そうですね、あとこうしていますと」
神殿の中にいると、というのだ。
「不思議な気持ちになります」
「どんな気持ちかしら」
「神殿ですよね、ここ」
友奈さんは千里さんに真剣なお顔で尋ねた、僕と友奈さんは正座でマルヤムさんもだ。外国の人だけれど忍術部で正座もしているのかそちらをしても平気だ。勿論千里さんも正座をして僕達にお話をしてくれている。
「そうですよね」
「ええ、そうよ」
「何か神々しいっていうより落ち着く」
「そう感じるのね」
「はい」
実際にというのだ。
「どういう訳か」
「畳だからでござろうか」
マルヤムさんもこう言ってきた。
「だからでござるか」
「それで、かしら」
友奈さんはマルヤムさんにも応えた。
「そのせいで」
「落ち着くでござるか」
「私の場合は」
「拙者はどうもでござる」
マルヤムさんは正座のまま神殿の中を見回してそのうえでこう言った。
「忍者屋敷にいる」
「畳だから?」
「そんな風に思ったごでざるか」
「それはちょっと」
「違うでござるか」
「私が思ったこととはね」
どうにもというのだ。
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