獣篇Ⅲ
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31 安い占いほどよく当たる。
華蛇を無事に捕まえた後、隊士たちは華蛇の方に護衛させ、私と晋助だけがその場に残った。
_「さて。説明致しましょうか。初めまして、私があなたに会った”高杉晋助”こと、久坂零杏と申します。あなたと直接会った鬼兵隊総督は、全員私です。」
_「オラァただ、実働部隊に駆り出されただけだ。」
交互に見て、頷く。
_「なるほどぉ、零杏…さんでしたっけ?…が、そっくりに化けていた、という訳ですねぇ。一本取られましたぁ。」
いえいえ、と断ってから言葉を続ける。
_「こちらこそ、なんか騙していたようで、申し訳ありませんでした。しかし、今回の件、ご協力ありがとうございました。お陰で、なんとかなりそうです。ではこれを、」
と言って、金貨50枚入った巾着袋を渡す。
_「最初に言っていた報酬ですわ。ぜひ受け取ってくださいまし。」
と言って、半ば平子に押し付ける形でその場を去った。
平子から連絡先の交換をお願いされたので、一応たくさん持っているメールアドレスから1つ選んで紙に書き残す。
それが済んだら、私たちは先ほどの部隊の行方を追った。
どうやらもう、船の中にいるようだ。
_「もしもし、こちら零杏。華蛇の様子はどうですか?」
応答があった。
_「さっきからずっと『丁か半か』しか言いませんで。どういうことですかねぇ?」
_「…わかりました。今そちらに向かっているので、しばらくお待ち下さい。それから先は、私が応対します。」
晋助と一緒に船に戻った。
***
_「丁か半か…丁か半か…ククク)」
薄暗い牢の中で、変わり果てた姿をした華蛇の声が響く。
_「半」
当たればいいかな、というくらいの冗談のつもりで言ってみた。
_「…ククク)当たり。半じゃ。」
よし、持ってるわー、私。wwww
晋助も挑戦してみた。
_「丁か半か…ククク)」
よく見ると、ダイスに見立てた釘とネジを弄んでいる。
_「…丁だ。」
_「…ククク)残念、半じゃ。」
あれ?当たらない。
晋助と顔を見合わせて、二人で首をかしげる。
_「え?なにこれ。」
_「占いじゃねェか?」
_「かもね。でもいいわ、私は当たったもの。wwww」
だが、私たちはこの人を春雨へつれていく義務がある。着く30分前くらいに麻酔薬を打たねばならない。
_「晋助、今から春雨に向かうわよね?」
_「あァ。そのつもりだ。」
_「Ok. 分かった。…じゃ私、今から春雨に提出する書類を書かなきゃだから部屋に戻るね。晋助はどうする?」
_「そうさなァ…オレも部屋に戻らァ。」
_「らじゃー」
そして私たちは部屋に向かった。
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