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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十四話 青い空その十二

「これからね」
「キリスト教の教会でござるか」
「いや、天理教だよ」
「そちらでござるか」
「うん、行くんだ」
「拙者ムスリムでござるが」
 それでもとだ、マルタムさんは考える顔になって僕に言ってきた。
「不意に興味が出たでござる」
「じゃあ」
「観光、いや史跡研修ということで行っていいでござるか」
 宗教が違うのでこうした理由で行けるかというのだ。
「そうしていいでござるか」
「別にいいと思うよ」
 僕はマルヤムさんに笑顔で答えた。
「別にね」
「そうでござるか」
「日本の観光施設に神社やお寺も多いけれど」
「ムスリムでもでござるな」
「結構な人が観光に来てるし」
「では観光や史跡研修ということで」
「そんなこと言ったらお相撲もね」
 これもだ。
「見られないよ」
「お相撲は神事よ」
 友奈さんもマルヤムさんに話した。
「だからね」
「ムスリムだから神社やお寺に行けないと言っていると」
「お相撲も観られないわよ」
「それは違うでござるな」
 そうだとだ、マルヤムさんも言った。
「それは」
「そう、だからね」
「そうしたことは構わずに。アッラーもそうしたことは気にしないよね」
「アッラーは偉大にして寛容でござる」
「そうだよね」
「人は過ちを犯すものとわかっているでござる」 
 イスラムの教えはそこから考えられているという、人は弱く過ちを犯すものだと認識したうえで考えられているとだ。
「だからでござる」
「寛容で」
「コーランでも滅多に怒らないでござる」
「そうした神様だよね」
「そうでござる、では」
「うん、別に天理教の教会に行っても」
 別に崇めたりする訳でないならだ。
「いいと思うよ」
「では行かせてもらうでござる」
「そうしてね。それと」
「それと?」
「一つ思うことは」
 それはとだ、僕はマルヤムさんにこうも話した。
「イスラムって他の宗教はいいんだよね」
「認めているでござる」
「そうだよね」
「ただ無神論はでござる」
「宗教を信じていないと」
「一番悪いとされるでござる」
 それがというのだ。
「まずはでござる」
「どんな宗教を信じているか」
「イスラム以外でもでござる」
「信仰があるかどうかがだったね」 
「イスラムでは重要でござる」
「それで信仰がないと」
「拠って立つものは何でござるか」
 マルヤムさんは僕に問う様にして言った。
「それは一体」
「そこで理性と言うけれどね」
「理性を支えるものは良心でござるな」
「その良心は信仰にあるから」
「それがないとでござる」
 それこそとなる、マルヤムさんは僕にイスラム社会での考えも話してくれた。 
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