八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十四話 青い空その十一
「決してね」
「やっぱりそうなのね」
「あれで腐れ外道だったら」
それこそだ。
「嫌いになっていたよ」
「親御さんでも」
「うん、そんな人だったらね」
よく人生相談とかで出て来るとんでもない親父だ、暴力を振るうわ借金は作るわ家のことは顧みないわの最低の人間も世の中にはいる。
「嫌いになってたよ」
「普通にそうなっていたのね」
「絶対にね、それに一族でもね」
今でも仕方ない奴だとか言われはしていて決して評判はよくない、けれどそれでいて何処かで愛されている感じはしている。
「もう縁を切られていたよ」
「そうした人なら」
「絶対にね」
そうなっていたことは間違いない、親父が文字通りの腐れ外道なら。
「誰からもね」
「けれど義和のお父さんはそうした人じゃない」
「だから僕も嫌いじゃないんだ」
このことは断固として言える。
「今もね」
「そうなのね」
「今は一緒にいないけれど」
イタリアにいるからだ、さっきも言ったけれど。
「時々連絡もしてくれるし」
「帰国されたこともあったわね」
「前ね。その時二人で飲んで」
「そのうえでお話をしたのね」
「そうしたよ」
焼酎と焼き鳥も美味しかった。
「あの時はね」
「今も仲いいのね」
「うん、そして教会にもね」
「よく連れて行ってもらったの」
「今からも行くよ」
「そうね。じゃあ」
「じゃあって?」
「私も今は暇だし」
それでとだ、友奈さんはここでこう僕に言ってきた。
「だから」
「一緒に来るんだ、教会まで」
「天理教の教会は学校の中のに行ったことがあるわ」
「ああ、あそこね」
「どんなものかって」
八条学園の中には他に神社やお寺、カトリックやプロテスタントの教会それにイスラム教のモスクも存在している。
「入ってみたわ」
「あそこもね」
「八条家の人達の教会なの」
「そうなんだ」
八条家の人がよく信者さんになっているのだ、八条分教会を親の教会つまり上の教会としている教会の一つだ。
「あそこもね」
「そうだったの、それでね」
「今回はだね」
「八条分教会にね」
そちらにというのだ。
「行きたくなったから」
「だからなんだ」
「行くわ」
「じゃあ今からね」
「一緒に行きましょう」
こうして僕達は一緒に八条分教会まで行くことになった、僕が小さい時から通っていたその教会に。
畑中さんにお話をしてから八条荘を出ようとした、だが玄関のところで僕達は後ろから声を聞いた。
「何処に行くでござるか」
「うん、教会までね」
マルヤムさんだった、二人で彼女の方に顔を向けて僕が答えた。
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