八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十四話 青い空その八
「務めてくれている人も多くて」
「それでなの」
「畑中さん、いや八条荘で働いてくれている人は誰も」
「義和が知らなかった人達なの」
「総帥さんにお仕えしていた人達みたいなんだ」
「ご本家の」
「うん、ご当主のね」
八条家ひいては八条グループのだ。
「あの人にお仕えしていた人達みたいだよ」
「そうだったの」
「どうやらね」
「お家で働いてくれている使用人さんも多いの」
「何百人といるから」
「だからなの」
「うん、僕はね」
八条家の人間でもだ。
「分家の分家だから」
「そんなところなの」
「ひいお祖父ちゃんが四男さんでね」
その時のご本家、この場合は嫡流になるだろうか。
「お祖父ちゃんがひいお祖父ちゃんの三男で親父がその末っ子なんだ」
「そう言われると随分ね」
「分家も分家だよね」
「そうね」
「しかも親父は一族一の滅茶苦茶人間だから」
そもそも一族の企業の経営に関わることも性に合わないと笑って言ってお医者さんになった位だ。八条家は八条病院という凄い総合病院を幾つも経営しているのにそちらの経営に関わらず手術医をしている。
「もう端っこの方だよ」
「一族の方で」
「僕は結構一族の集まりに顔を出してきたけれど」
「最近は?」
「あまりだよ」
八条荘に入ってからどうも忙しくてだ。
「そっちはね」
「そうなの」
「うん、今はね」
「けれど前はなの」
「親父が代わりに言ってくれって言うことが多くて」
いつもそこで美味いものも食えるからなと言ってわざわざ車で送り迎えまでしてくれた位だった。その時は。
「そうだったんだ」
「一族のパーティーとかに」
「そう、行ってたんだ」
「お父さんの代理だったの」
「うん、親父はそうしたパーティーにはあまりね」
「お顔を出さないの」
「総帥さんが出ておられたら」
その場合は本当に大抵だ。
「そう僕に言うんだ」
「ひょっとしてお父さんって」
「総帥さんだけは苦手なんだ」
「そうだったの」
「あの親父が唯一頭が上がらない人なんだ」
「色々あったのね」
「どうも色々よくしてもらってそれでも破天荒に生きてるから」
現代の傾奇者と言っていい位にだ。
「それでも可愛がってもらってて」
「頭が上がらなくて」
「そうした場所でお会いするのがね」
「苦手で」
「それでなんだ」
「総帥さんが出ておられるパーティーにはなのね」
「親父本人は行かないで」
それでだった、総帥さんが出ておられるパーティーのお話は親父はあの人だけはなと笑って言って僕にいつも代理を頼んでいた。
「そうだったんだ」
「何かね」
「面白いでしょ」
「ええ、お話を聞いてたら義和のお父さんは」
「怖いものなしだよね」
「そうした人に思えるから」
「それが総帥さんだけはなんだ」
本当にあの人だけはだ。
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