夢幻水滸伝

「何といってもや」
「江戸、江戸城やな」
「そや、東国一の街であり城や」
　江戸、そして江戸城はというのだ。
「あそこや」
「やっぱりそうか」
「東国の江戸のある武蔵と相模、上総、下総はや」
　この四国はというのだ。
「工場も多いしな」
「中々豊かか」
「ああ、あと仙台や札幌も栄えてる」
　こうした街もというのだ。
「けど何といっても東国の忠臣はな」
「江戸か」
「あそこや、都や大坂並にでかい街やで」
　まさにというのだ。
「そうやさかいな」
「あの街をやな」
「まずは目標にする」
「攻め取るか」
「そのつもりで行く、しかしな」
　ここでこうも言った芥川だった。
「相手もそれはわかってる」
「そやからやな」
「江戸を攻め取る前にでかい戦になるで」
「やっぱりそうなるな」
「こっちは駿河、甲斐、越後から攻め入るやろ」
　東国にというのだ。
「相手もそれはわかってるさかいな」
「入るそこでか」
「戦になるわ、特に自分は駿河から攻め入ってもらうが」
　芥川は中里を見据えて彼に話した。
「駿河から東国に入るにはな」
「難所があるな」
「わかってるな、そこは」
「ああ、箱根や」
　まさにそこだとだ、中里も応えた。
「あそこやな」
「箱根八里、しかしこの世界は僕等が起きた世界の五倍の広さや」
「八里もやな」
「五倍や、四十里はある」
「二百キロか」
「それだけの長さや、しかもな」
　芥川はさらに話した。
「険しさも相当や」
「それでやな」
「そうや、そやからあそこを越えるにはな」
「海と空やな」
　中里は即答した、その二つからだとだ。
「吉川達の水軍と空船を使ってな」
「そうして箱根は越えてもらうで」
「歩いて進めば険しい場所もな」
「海と空から行けば楽や」
「それも遥かにな」
「疲れんし速く進める」
　この二つのことがあってというのだ。
「そやからここはや」
「空と海で箱根を越えて」
「そしてや」
「それからやな」
「東国に攻め入ってもらう、自分がそう進んで僕は甲斐から攻め入る」
　芥川はこちらからだというのだ。
「あの国からな」
「甲斐から入る方が楽やろな」
「箱根越えるよりずっとな」
「やっぱりそやな」
「僕はすぐに江戸を目指す、自分は伊豆と相模を攻め取ってくれ」
「その二国か」
「そや、相模は重要な場所が多い」
　この国はこの国でというのだ。
「小田原に鎌倉、川崎、あと何といっても横浜と横須賀や」
「色々あるな」
「こっちの世界では横浜は堺よりは栄えてへんし横須賀も呉程大きな軍港やないけど」
　それでもというのだ。