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夢幻水滸伝

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第五十二話 東国からの使者その一

               第五十二話  東国からの使者
 都の者達は都の正門である羅生門の前に僅か三人の供の者達を連れただけで姿を現わした彼等を見て言った。
「たった四人かいな」
「しかもお供は三人でな」
 江戸時代のそれを思わせる服の武士達が三人だった、それぞれオークとコボルト、人間である。
「星の人はお一人か」
「あの目は」
 その星の者の目を見た、見れば黒く濃いサングラスをしている。見事な長い黒髪を腰の辺りまでさらりと伸ばし紺の袴と青と白が西洋で言うタートンチェックの模様で入れられている着物を着ている。足は白い足袋と下駄だ。背は一五七程とあまり高くないが胸は目立って大きい。
 面長で唇は小さく紅で鼻は高い。アジア系の顔をしていて肌もその色だ。サングラスをかけているが整っているのがわかる。
 その美少女と言っていい彼女を見てだ、ある者が言った。
「東国一の剣豪松尾日毬さんやで」
「あの噂のか」
「たった一人で幾つもの山賊や海賊を成敗したっていう」
「刀を持たせれば無敵っていう」
「あの人かいな」
「そや、サングラスをかけた剣客」
 腰には二本差しがある、ただし二本共かなり長い。
「そういうたらな」
「あの人しかおらんか」
「松尾日毬さんしか」
「しかも東国から来た人やし」
「そやったら」
「間違いないわ」
 日毬にというのだ。
「間違いなくな、しかしな」
「しかし?」
「しかしというと?」
「どないしたんや」
「いや、サングラスかけててもや」
 それでもと言うのだった。
「別嬪さんやな」
「ああ、そういえば別嬪さんでも有名やったな」
「えらい顔のええ剣客さんやで」
「別嬪さんで腕も立つ」
「二物も三物も与えられたお人らしいな」
「あのサングラスはや」
 日毬の様にサングラスをかけた若い男が言ってきた。
「わしと同じやろな」
「赤目やな」
「赤目族やな」
「目から赤い熱線を放つ」
「その種族やな」
「わし等は目に力を入れるとや」
 その赤目の若者が言うのだった。
「熱線出してまうからな」
「身を護るにはええけどな」
「怒ってすぐに出さん様にな」
「赤目族は普段はサングラスしてるか目を閉じてる」
「そうしてるさかいな」
「そやからあの人もや」 
 日毬もというのだ、見れば日毬は供の者達を連れてそのうえで都の大路を堂々と歩いて前に進んでいる。
「ああしてや」
「サングラスかけてやな」
「周りに迷惑かけん様にして」
「そうしてるんやな」
「ああいう風に」
「そや」
 その通りという返事だった。
「わし等それが大変やねん」
「赤目はなあ」
「目が攻めるところやけどな」
「逆に付き合いで困るところもある」
「長所が短所やな」
「もう出そうって思ったらすぐに出せるからな」
 目から赤い熱線、それをというのだ。
「怒ったりしてやったるって思ったらな」
「それでやな」
「いつも黒眼鏡してやな」
「それで周りに迷惑かけん様にしてる」
「そうしてるんやな」
「そうや、それでや」
 その為にというのだ。 
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