夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十一話 東国からの使者その十六
「お供が三人でもな」
「充分やろ」
「ああ、文字通り一騎当千の剣客やな」
「持ってる神具も刀が多くてな」
「相当に強いな」
「戦闘力だけやったら自分に対抗出来るかもな」
勝てはしないかも知れないがというのだ。
「そこまで強いわ」
「そうらしいな」
「その日毬ちゃんが来た」
「ってことはやな」
「わかるな、相手の意図が」
「ああ、本気でな」
「それだけやないで」
芥川は中里に真剣な顔で述べた。
「わかるな」
「ああ、よくな」
中里も頷いて返した。
「東国の考えがな」
「ほなええな」
「今から日毬ちゃんに会うか」
「そうしよな」
綾乃も応えた、そして棟梁である彼女が部将に言った。
「ほなここまでな」
「案内させて頂きます」
部将は綾乃に畏まって答えた。
「一旦駿河に戻り」
「駿河と相模の境におるんやな」
「はい」
部将は綾乃にその通りだと答えた。
「左様です、関に畏まっておられます」
「そこ日毬ちゃんらしいな」
綾乃は部将の話から使者のことを思った。
「畏まって待ってるって」
「礼儀正しくです」
「武士そのものの態度でやね」
「左様です」
「ほなその日毬ちゃんをここまでな」
「案内させて頂きます」
部将は答えそうしてだった。
綾乃達に一礼してから一旦姿を消した、移動の術で駿河に戻ったのだ。
その部将を見送ってからだった、太宰は綾乃に言った。
「ではすぐにです」
「会う準備をやな」
「しましょう」
こう言うのだった。
「そうしましょう」
「そやね、そうしてね」
「お話をしてです」
そしてというのだ。
「今後のことが正式に決まります、ですが」
「日毬ちゃんが来たってことは」
「戦です」
こうなることが決まっているとだ、太宰は綾乃に話した。
「東国の中でも最も強硬派、武闘派の松尾さんが来られるのですから」
「強いこと言うてくるやろね」
「宣戦布告でしょう」
それを言ってくるとだ、太宰は綾乃に話すのだった。
「ほぼ確実に」
「そやろな、まあ向こうの棟梁の幸田もな」
「好戦的というかね」
「喧嘩好きやしな」
「生粋の江戸っ子やしね、幸田君」
「そのせいか火事と喧嘩が大好きでや」
「戦も好きやしね」
そうした性分だからだというのだ。
「国と民に迷惑かけん形での」
「そやからや」
「やっぱり戦になるんやね」
「そうやな、もう日毬ちゃんが来た時点でな」
このことはというのだ。
「決まりや」
「そうなるんやね」
「兵を東国との境にやって正解やったわ」
実にとだ、芥川は自分のこの戦略に我ながらよくやったと内心思った。そのうえで綾乃に言うのだった。
「ほなそれでや」
「開戦になったらやね」
「僕等が境に移って兵を率いて攻め込むで」
「そうするんやね」
「ああ、そして一気にや」
まさにと言う芥川だった。
「戦終わらせるで」
「戦するんやったらやね」
「一気に終わらせるもんや」
それが最善だからだというのだ、戦をするのなら。
「百戦百勝は最善ならずでな」
「戦をせんに越したことはないけど」
「戦をするんやったらな」
「すぐに終わらせるべきやね」
「そやからな」
「戦になったら」
「すぐに終わらせる、ほなその戦を決めるな」
間違いなくそうなるとだ、芥川はまたこう言った。
「話を日毬ちゃんとしよな」
「そうしよな」
綾乃も応えた、そしてだった。
関西の主な面々は東国からの使者と会うことにした、使者はすぐに都に案内されまずは御所に術で来た。
第五十一話 完
2018・1・24
ページ上へ戻る